
米国は通商協定においてSNSプラットフォーム「TikTok」問題の解決が目前に迫る中、新たな焦点をレアアース(希土類)に移している。
ロイター通信などによると、米下院の米中戦略競争特別委員会のジョン・ムレナ委員長は18日(現地時間)、ドナルド・トランプ大統領に対し、中国によるレアアース独占問題が解決されなければ航空産業を対象に報復措置を取るよう求めた。
共和党所属のムレナ委員長は大統領宛ての公開書簡で、中国がレアアース資材や磁石の輸出制限を完全に撤廃するまで、中国の航空会社が米国および同盟国の空港を利用することを制限すべきだと提言。また、中国に対する民間航空機やその部品、整備サービスの販売に政府承認を義務付けるなど規制を設け、航空産業を締め付ける必要があると主張した。

さらに、こうした航空産業への報復措置には欧州連合(EU)など主要同盟国も参加させるべきだと訴えた。まずは主要7カ国(G7)で実施し、その後「クアッド」(米・日・豪・印による枠組み)や北大西洋条約機構(NATO)に拡大すべきだとしている。
ムレナ委員長は「このような措置を同盟ブロック全体で実施すれば、中国は自国の戦略産業を危険にさらさない限り、我々の防衛産業に不可欠なレアアース供給を遮断できないという強力なメッセージを送ることになる」と述べた。
中国は世界のレアアース供給網において支配的な地位を占めており、米国の関税圧力などに対抗するため、レアアース輸出を「武器」あるいは強力な「交渉カード」として利用している。今年5月、スイス・ジュネーブで開かれた米中初の高官級通商協議後、一部のレアアース輸出は再開されたが、輸出統制は依然として完全に解除されていない。
米国は中国のレアアース独占に対抗するため、官民合同で12億ドル(約1,775億円)の基金を創設し、レアアース鉱山の開発プロジェクトを推進中である。規制や自助策を含め、あらゆる手段を総動員して解決を図っている。
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