
米国人の3人に1人が非常時の貯蓄を全く持っていないことが明らかになった。退職・金融サービス企業エンパワー(Empower)が最近発表した調査によると、回答者の32%が緊急時に備えた資金を確保していないという。特にZ世代が最も深刻な影響を受けており、記録的な負債を抱えながら就職難にも直面しているためである。回答者の75%は「非常時の貯金は財政的安定に不可欠」と答えている。
エンパワーの調査によれば、Z世代の非常時貯金の中央値はわずか400ドル(約5万8,868円)にとどまった。一方、ベビーブーマー世代は2,000ドル(約29万4,341円)と、5倍の差が見られた。この調査は6月3日から5日にかけて、18歳以上の米国人2,202人を対象にオンラインで実施され、標本は米国の成人人口を代表するよう重み付けされたと説明した。
専門家は、月収の20%以上を貯蓄に回すことを推奨しているが、物価高や高金利、賃金停滞により、その実現がますます困難となっている。生活費を賄うだけで精一杯のため、実際に半数以上の回答者が「現在のように全てが高額では、非常時の貯金は事実上不可能だ」と回答している。
物価は依然として上昇を続け、今年8月の消費者物価指数は前年同期比2.9%上昇し、連邦準備制度理事会(FRB)の目標値である2%を超えた。金利が高水準を維持する中、家賃は過去最高を記録し、家計への負担は増している。調査では、回答者の46%が「非常時貯金口座の残高が1年前より減少した」と答え、42%は「もし今仕事を失えば、非常時の貯金では乗り切れない」と述べた。
特にZ世代は生活費の高騰に直面し、貯金の余裕が全くない状況にある。学生ローンやクレジットカードの借金が月々の支出の大部分を占め、歴代どの世代よりも高い負債負担に加え、失業率も高く厳しい状況に追い込まれている。
ニューズウィークの調査によれば、Z世代の平均負債は9万4,000ドル(約1,383万6,393円)に達し、ミレニアル世代は6万ドル(約883万1,740円)、X世代は5万3,000ドル(約780万1,370円)であった。年齢が上がるにつれて貯金が増えるという単純な構図が確認され、これはZ世代にとって不利な現実と言える。
ナショナル・デット・リリーフ(National Debt Relief)のナタリア・ブラウン最高消費者保護責任者は「Z世代は社会に出る瞬間から重い借金を背負っている。学生ローンやクレジットカード債務、生活費の上昇が重なり、スタート地点からつまずいている」と指摘し、さらに「キャリアを始めたばかりの時点で、借金の重圧をより強く感じる」と付け加えている。
Z世代は住宅購入や借金返済に加え、雇用問題という別の危機にも直面している。関税を巡る不透明感から企業の採用が抑制される一方、AI普及の影響で新卒採用は過去最低水準にまで落ち込んでおり、その結果、借金を減らす機会すら掴みにくい状況にあると語られている。
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