
ドナルド・トランプ米大統領は22日(現地時間)、自身の公式インターネットアカウントを通じ、妊婦に対するタイレノール(一般名アセトアミノフェン)の服用禁止勧告など、医学的根拠のない主張を発表した。
ニューシスによると、妊婦に「タイレノールを飲まないように」と勧告するのは、トランプ大統領がこれまでホワイトハウス記者会見で12回以上繰り返してきた内容だ。米国メディアは今月初めから、トランプ大統領が自閉症に関連する過去に否定された説まで持ち出すのではないかと予想していた。
トランプ大統領は今回、ワクチン接種の時期や種類によって子どもの自閉症が増えるといった、医学的確証のない説も併せて発信した。新たな研究結果ではなく、古い論文や噂に依拠した内容とみられる。背景には、自身の「アメリカを再び健康に(Make America Healthy Again)」キャンペーンや、ワクチン反対派の主張を取り入れてきた経緯があると指摘されている。
トランプ大統領は第1期政権やコロナ禍でもワクチン義務化や接種時期を巡って物議を醸しており、今回も同様の姿勢を示した形だ。
AP通信が取材した医学専門家は「極めて無責任」と批判している。ニューヨーク大学のアート・カプラン生命倫理学教授は「証拠のないデマや迷信を再利用したり、完全な虚偽を健康アドバイスとして無差別に流すような当局者は見たことがない」と断じた。
トランプ大統領は食品医薬品局(FDA)に対しても「アセトアミノフェンが自閉症リスクを高める可能性を医師に知らせるべきだ」と主張したが、なぜ急に特定の薬を問題視したのか説明はなかった。
一部の研究で「妊婦がタイレノールを服用すると自閉症児を産む可能性がある」との説が出たことはあるものの、懸念は不要とする専門家も多い。ペンシルベニア大学の自閉症専門家デイビッド・マンデル教授は「エビデンスは乏しい」と指摘する。
タイレノールは世界で最も広く使われる解熱・鎮痛剤の一つで、妊娠中も比較的安全とされ、薬が制限される妊婦の発熱や痛みに使われてきた。
しかしトランプ政権内の一部保健当局者は、アセトアミノフェンを妊婦が使うリスクについて懸念を表明した。妊婦・胎児医療の専門家は「今回の主張は妊婦に混乱と害をもたらす極めて無責任な発言だ」と批判している。
タイレノール論争の影響で、同薬を扱う製薬会社ケンビューの株価は22日に7.5%下落した。同社は同日「タイレノールと胎児の自閉症リスクに関連はない」とする声明を発表し、逆に「必要なときに服用しないことで高熱や他の薬剤使用によるリスクが高まる」と警告した。
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