
米国でダンボール箱の需要が急減し、景気減速への懸念が高まっている。ピザから家電製品まで様々な商品の配送に使用されるダンボールは、米国の消費者心理を測る指標とされているためだ。米トランプ政権の関税政策や住宅市場の低迷も、ダンボール需要縮小の一因と分析されている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の21日付報道によると、米国のダンボール箱出荷量は2016年以降で最低水準を記録したという。1人当たりの数値ではさらに落ち込みが顕著で、最近では1人当たりのダンボール箱出荷量が1,150平方フィート(約107平方メートル)未満に低下し、2020年の新型コロナウイルスのパンデミック時と比べ10%以上減少している。
WSJは「パンデミック時は米国民の在宅時間が増え、景気刺激策によって商品の消費が急増したため、箱の需要が記録的に伸びた」と指摘し、「電子商取引の発展により商品の自宅直送が増加したことから、今後もダンボール需要は拡大すると期待されていた」と伝えている。
しかし、業界の分析によると、予想に反してダンボール需要は早期に減少に転じた。箱製造業者や業界アナリストは、ドナルド・トランプ米大統領の関税政策による不確実性が企業活動を萎縮させ、米国民の消費が鈍化したシグナルと捉えている。ピザ1枚の配達にもダンボール箱が使用されることから、ダンボール需要の減少は消費活動の縮小を示唆していると解釈できる。
WSJはまた、住宅市場の低迷により引っ越し用の箱、建材、家電製品の梱包材の需要も減少したと指摘している。需要の減少に対応し、製紙会社は構造改革に着手している。米国最大の箱製造業者である「インターナショナル・ペーパー」は先月、コンテナボード(ダンボール包装材の原料)を生産する、米ジョージア州の製紙工場2か所の閉鎖を発表した。この2工場の閉鎖により、米国全体のコンテナボード生産能力の9%が失われることになり、これは2009年の世界金融危機時に工場閉鎖で減少した生産量の2倍に相当する規模である。
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