
ドナルド・トランプ米大統領は、国連総会での演説中にプロンプターの故障や音響の不具合が相次いだことを受け、「三重の妨害工作だ」と強い不満を示した。米シークレットサービス(大統領警護局)は、国連本部で発生した一連の事案について調査を開始したという。
24日(現地時間)、トランプ大統領は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に投稿し、国連で発生した一連の事故について不満をぶつけた。大統領によれば、メラニア夫人と乗っていたエスカレーターが本階に向かう途中で急停止し、転倒しかけたという。そのうえで責任者の逮捕を要求した。さらに「演説冒頭にはプロンプターが停止し、音響システムも故障して世界の指導者たちが私の声を聞けなかった」と主張。「一つでもなく、二つでもなく、三つの不吉な事件が重なった」と訴えた。
ホワイトハウスの広報担当カロリン・リーヴィット氏はSNSで「もし国連の誰かが、大統領夫妻が乗っている際に意図的にエスカレーターを止めたのなら、即刻解雇し調査すべきだ」と訴えた。また米『FOXニュース』のインタビューでは「シークレットサービスが故障したエスカレーターとプロンプターの双方を調査している」と明らかにした。
これに対し、国連関係者は「エスカレーターは内蔵された安全装置が作動したにすぎない」と説明。プロンプターについても「運営は国連ではなくホワイトハウス側が行っていた」と反論した。
国連のステファン・デュジャリック報道官は、エスカレーターの制御装置の解析結果を公表し、「上部の安全機能が作動した後に停止した」と説明した。そのうえで、トランプ氏のビデオグラファーがメラニア夫人との到着場面を撮影するため、エスカレーターを逆走していたと指摘し、「撮影者が誤って安全装置を作動させた可能性がある」と述べた。
一方、23日の国連総会で約1時間にわたって行われたトランプ大統領の演説に対し、各国代表の反応は冷ややかだった。
演説では「米国第一主義」や「既得権益への敵視」といったトランプ流の世界観が色濃く示された。1期目の在任中には笑いや微笑みが見られた会場も、今回は沈黙に包まれていたと海外メディアは報じた。英『BBC』は「トランプ大統領の演説は、彼の世界観や思想が赤裸々に表れた瞬間だった」と指摘。さらに、実際の聴衆は各国首脳ではなく、米国内の支持層「MAGA(米国を再び偉大に)」陣営だったとの分析もある。演説冒頭の10分間は自画自賛に費やされ、典型的な選挙集会のようで、支持者には強烈なメッセージとなったと英『ガーディアン』は論じた。
また、バイデン政権下で国連米代表部副代表を務めたネッド・プライス氏は「単なるMAGAスローガン集にすぎなかった」と痛烈に批判。「トランプは支持層を意識し、遊説で繰り返してきた掛け声をそのまま流用しただけだ」と述べた。
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