「ハマスを完全に排除すべきだ」 ネタニヤフ首相、演説開始で数十か国の外交官が退席

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相が26日(現地時間)にニューヨークの国連本部で行った演説は、ガザ地区での軍事作戦の正当性を主張する内容だったが、国際社会の反応は冷ややかだった。演説直前に各国の外交官数十人が会場を立ち去り、ニューヨーク市内では大規模な反イスラエルデモが起きた。
ガーディアンやワシントン・ポストなどの報道によると、ネタニヤフ首相が演壇に上がると、約50か国から100人以上の外交官が退席したという。会場の一部では拍手や声援もあったが、退席の列が続き、議長が何度も「秩序を守るように」と要請する場面もあったという。
空席が目立つ中で演説に入ったネタニヤフ首相は、ハマスに対して「最後まで戦わなければならない」と強調し、人質の全員解放を求めた。ネタニヤフ首相は「ハマスが要求に応じれば戦争は即座に終わる。しかし応じなければ、イスラエルはハマスを狩り出すだろう」と述べた。また、最近パレスチナを国家承認したフランスや英国、オーストラリア、カナダなどを名指しで批判し、「恥ずべき決定がテロを助長する」と非難した。
国連などが支持する「二国家解決」についてもネタニヤフ首相は強硬な姿勢を示した。ネタニヤフ首相は「パレスチナはイスラエルの隣ではなく、イスラエルに代わる国家を望んでいる」と述べ、さらに「10月7日のテロ以降、エルサレム近郊にパレスチナ国家を樹立するなどというのは、9.11同時多発テロ以降にニューヨーク近郊にアルカイダ国家をつくれと言うようなものだ」と強い口調で非難した。
演説直後、会場の一部からは総立ちの拍手喝采が起きたものの、別の一角では野次や非難の声が上がった。ニューヨーク市内では、数千人規模の反ネタニヤフ集会が開かれ、タイムズスクエアなどで「ジェノサイド(集団虐殺)をやめろ」「パレスチナに自由を」といったスローガンを叫び、警察が一部の参加者を拘束したが、概ね非暴力で進行したという。
ネタニヤフ首相の演説は軍用拡声器を通じてガザ地区でも中継され、人質に向けては「あなた方を一秒たりとも忘れていない。必ず救出する」と約束した。現在、ハマスが拘束している人質は47人で、そのうち約20人のみが生存していると伝えられている。
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