米国のJD・ヴァンス副大統領が初めて、ウクライナへの「トマホーク」巡航ミサイル支援の可能性を示唆した。これまで戦争拡大の懸念や血税の無駄遣いを理由にウクライナへの軍事支援に慎重だった米トランプ政権が、実際に方針転換するかが注目される。

ヴァンス副大統領はフォックス・ニュースのインタビューで「米国のドナルド・トランプ大統領がウクライナへのトマホーク巡航ミサイル提供を許可すると考えるか」との質問に対し、「我々は欧州各国からの様々な要請を検討している」と述べた上で、「大統領が最終的な決定を下す案件であり、米国の最善の利益に沿って判断する」と答えた。
これに先立ち、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は国際連合総会を機にトランプ大統領と会談し、トマホーク支援を要請したとされる。特にトランプ大統領は「ウクライナがロシアとの戦争に勝利し、奪われた領土を取り戻せる」と初めて明言し、その背景に注目が集まっていた。
米国によるトマホーク支援は、トランプ大統領の姿勢変化とも相まって、戦争の大きな転換点になる可能性がある。昨年、ウクライナは幾度もトマホーク導入を要請したが、トランプ大統領はロシアとの紛争拡大を懸念し、これを拒否し続けた。トマホークは最大射程2,400kmの長距離巡航ミサイルで、ウクライナ領内からモスクワを含むロシア本土の奥深くまで攻撃可能である。米国がトマホーク支援を決定すれば、ロシアはこれを戦争拡大を煽る挑発行為とみなし、強く反発する可能性がある。
ヴァンス副大統領はロシアの戦況について「完全に膠着状態だ」とし、「今こそロシアがテーブルにつき、平和を真剣に議論すべきだというトランプ大統領の熱心な呼びかけに耳を傾ける時である。ロシアは目を覚まし、現実を受け入れなければならない」と促した。
ゼレンスキー大統領もオンラインメディアのインタビューで「トランプ大統領に我々が必要とする一つのものを要請した。トランプ大統領は『検討してみる』と答えた」と述べ、トマホーク支援要請の事実を間接的に示唆した。これに関連し、米国とウクライナは900億ドル(約13兆3,695億円)規模の大型武器購入協定に向けた実務会議を今週開催する。戦況逆転を狙った長距離武器の購入など「メガディール」の実現にも注目が集まる。
一方、ドイツ通信社とロイター通信によると、ウクライナはロシア西部の国境都市ベルゴロドを爆撃し、2022年2月の戦争勃発以来初めてロシア内で大規模な停電が発生したという。これに対抗し、ロシアも同日の夜、ウクライナの首都キーウに600発以上のドローンとミサイルを撃ち込んだ。
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