
米国がウクライナにトマホーク・ミサイルを供与する可能性が浮上し、ロシアも神経を尖らせている。29日、ロイター通信など海外メディアは、ロシア側がトマホークの供与を注視しており、緊張が高まる可能性があると警告したと報じた。
クレムリン(ロシア大統領府)のドミトリー・ペスコフ報道官は記者団との質疑応答で「問題は誰がトマホークを発射できるかだ」とし、「ミサイルの標的を定めるのは米国かウクライナか、綿密な分析が必要だ」と述べた。特に「トマホークの使用が戦況を一変させることはない」とし、「ウクライナ政権の現在の前線状況を変える特効薬はない」と強調した。
過去にロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、ウクライナがロシアを攻撃するためにミサイル使用を許可する国の軍事施設を攻撃する権利があると強く警告した。
米国のトマホーク供与の可能性が高まったのは、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が最近の国際連合総会期間中の非公開会議で米国のドナルド・トランプ大統領にトマホーク提供を要請したことが明らかになったためである。
ゼレンスキー大統領は、トマホークがプーチン大統領を和平交渉に向かわせる圧力になり得るとの論理でトランプ大統領を説得したとされる。これに対しトランプ大統領は検討すると答え、その後前向きな姿勢を示した。

28日、米国のJD・ヴァンス副大統領はフォックスニュース・サンデーのインタビューで「確かに欧州側からの要請を検討している」とし、「トマホーク供与の最終決定はトランプ大統領が下す」と明かした。
さらに「我々は政権発足当初から平和を積極的に追求してきた」とし、「ロシアは現実を直視すべきだ。多くの人命が失われている」と強調した。トマホークをウクライナに供与する可能性を示唆しつつ、同時にロシアに和平交渉への積極的な姿勢を促している。
このヴァンス副大統領の発言はやや曖昧だが、トランプ大統領のキース・ケロッグ特使(ウクライナ担当)の発言はさらに踏み込んだものだった。彼はフォックスニュースのインタビューで「トランプ大統領がウクライナに米国製武器による長距離攻撃を承認した」とし、「聖域などない」と主張した。つまり、米国がゼレンスキー大統領のトマホーク要請を受け入れたと解釈できる。
米国が軍事介入や戦争を行う際、トマホークは開戦初期に敵の重要目標を攻撃する手段になっており、射程は約2,400kmに達する。この長射程ゆえに、ウクライナが使用すればモスクワなどロシア本土の奥深くまで攻撃が可能になる。そのため、ウクライナは米国に幾度もトマホーク供与を要請したが、ロシアの反応を懸念した米国はこれを許可しなかった。
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