
米国のドナルド・トランプ大統領が、中東の同盟国カタールが攻撃を受ける場合、米国が防衛に乗り出すと約束した。トランプ大統領は先月の29日(現地時間)に署名した大統領令で、「外部からの攻撃に対してカタール国の安全と領土保全を保証することが米国の政策だ」と明記した。これにより米国は「カタール国の領土、主権、重要インフラに対するいかなる武力攻撃も米国の平和と安全保障に対する脅威」とみなすことになった。
カタールに対するそのような攻撃が発生した場合、トランプ大統領は「米国とカタールの利益を守り、平和と安定を回復するため、外交、経済、そして必要に応じて軍事行動を含むあらゆる合法的かつ適切な措置」を取るよう指示した。CNNは、カタールへの攻撃を米国への脅威とみなす今回の安全保障が、米国が加盟する北大西洋条約機構(NATO)の加盟国間の集団防衛義務を定めたNATO第5条に類似していると指摘した。
カタールはNATO加盟国ではないが、ジョー・バイデン前政権は2022年にカタールを主要非NATO同盟国に指定した。ただし、NATO条約が米上院の批准を必要とし法的拘束力があるのに対し、大統領令によるカタールへの安全保障はトランプ大統領の行政権限に基づく約束であるため、次期政権に100%引き継がれる保証はない。
CNNは、米憲法が条約締結権限を上院に明確に与えているにもかかわらず、トランプ大統領が議会を迂回して米国を戦争に巻き込む可能性のある約束をしたことは驚くべきことだと指摘した。
CNNはまた、カタールが多くの共和党関係者から信頼されていない国だと説明した。共和党関係者はカタールの人権状況やテロ組織との関係などについて長年不満を表明しており、今年トランプ大統領がカタールから4億ドル(約588億5,587万円)相当の航空機を贈与として受け取ったことについても不適切だとの指摘が出ている。
ニューヨーク・タイムズ(NYT)は、イスラエルがカタールに滞在中のイスラム組織ハマス指導部を排除するため先月9日にカタールの首都ドーハの建物を空爆した後、トランプ大統領がこの大統領令に署名したことに注目した。トランプ大統領がカタールに対し、このような攻撃が再び起こらないと安心させるために安全保障を提供した可能性があるとの分析がある。
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