主人に迫る蛇に立ち向かった柴犬
毒が全身に回り体が硬直…集中治療の末、奇跡の回復

中国で「命を懸けた忠犬」の物語が人々の心を打っている。
中国河北省の小さな村で暮らす孟さん一家。2歳の柴犬・ヘタオと1歳のドゥオドゥオは、家族にとって欠かせない存在だった。
ところが、8月29日――その平穏な日常が一瞬にして変わった。
前庭からドゥオドゥオの激しい鳴き声が聞こえた孟さんが外へ出ると、そこには体をくねらせる1匹の蛇。呼び戻そうとしたその瞬間、蛇は孟さんに向かって進み始めた。
危険を察したヘタオは、迷うことなく主の前に立ちはだかり、一直線に蛇へと飛びかかった。命がけの攻防の末、蛇は息絶えたが――それは猛毒を持つマムシだった。
しばらくして帰宅した夫と共にヘタオを確認した孟さんは、すでに腫れ上がった噛み傷と硬直し始めた体を見て愕然とした。
すぐに動物病院へ運び手当てを受けたものの、解毒剤は置かれていなかった。夫は一刻を争う状況で、数時間かけて北京まで車を走らせ、解毒剤を入手するため奔走した。
その夜、孟さんは一晩中ヘタオのそばを離れなかった。
「頭全体が腫れ上がって、苦しそうに泣き声を上げるたびに、私も泣いていました」――孟さんはその夜を振り返る。

翌朝、再び病院で治療を受けたヘタオは、少しずつ食事と水を口にできるようになった。
懸命な看病の末、1週間後には危険な状態を脱し、3週間後には傷口にかさぶたができて完全に回復。再び家族のもとに元気な姿を見せた。
「ヘタオは私を守るために命を懸けた。だから私も、あの子を守るために全てを尽くした」
孟さんの言葉には、家族としての絆と、命の重さへの深い感謝が滲む。
今回の出来事を通じて孟さんは、人々に「ペットを安全な場所に留め、特に雨上がりの森や草むらに連れていかないように」と注意を呼びかけている。
命を懸けて主を守った小さな柴犬・ヘタオ。その勇敢な行動は、中国全土で静かな感動を広げている。
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