
ドナルド・トランプ米大統領が「ナレンドラ・モディ印首相からロシア産原油の輸入を中止するとの確約を得た」と主張したことについて、インド政府が即座に否定した。インド側は発言の事実を明確に否定しつつ、ロシア産原油の輸入を今後も継続する姿勢をにじませた。
インド紙「インディアン・エクスプレス」などによると、ランディール・ジャイスワル外務省報道官は16日(現地時間)の定例記者会見で「その日に両者の電話会談はなく、直近の通話は今月9日だった」と述べ、トランプ大統領の発言内容を全面的に否定した。
同報道官はさらに、「インドは主要な原油・天然ガス輸入国として、変動の激しいエネルギー市場において常に国内消費者の利益を最優先してきた」と説明し、「エネルギー輸入政策はこの原則に基づいて策定されている」と強調した。これは実質的に、インドがロシア産原油の輸入を継続する意思を示した発言と受け止められている。
これに先立ち、トランプ大統領は15日のホワイトハウス記者会見で「モディ首相がロシア産原油の輸入を停止する意向を直接私に伝えた」と発言していた。
一方、インド外務省は「米国とのエネルギー協力強化を重視している」と述べつつも、「我々は過去数年にわたり米国からのエネルギー輸入を拡大しているが、それはあくまで市場多角化の一環であり、特定国への配慮によるものではない」と説明した。
インドは2022年のウクライナ侵攻以降、西側諸国の制裁により販路を失ったロシア産原油を割安価格で大量に輸入してきた。こうした動きに対し、トランプ政権は「ロシアの戦費を間接的に支援する行為だ」と批判し、8月末から大半のインド輸出品に対し、制裁的意味を持つ追加関税25%を含む計50%の相互関税を課している。
インド政府はこれまで一貫して、「ロシア産原油の輸入は政治的判断ではなく、経済的合理性に基づく決定だ」との立場を崩していない。
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