
欧州連合(EU)の行政府である欧州委員会が、2030年までに実質的な戦争準備を完了するという内容の防衛計画を、16日(現地時間)に公開した。
ロイター通信によると、「防衛準備ロードマップ2030」と名付けられたこの計画は、2027年末までに武器の40%以上を加盟国が共同購入することを主要目標にしているという。これは、個別国家で行われていた国防調達の分散化を解消し、欧州防衛産業の効率性と相互運用性を高めるための措置と解釈できる。
EUは4つの重点事業として、ロシアと国境を接する東部戦線を陸・海・空にわたって要塞化する「東部戦線監視」、ドローン(無人機)攻撃を阻止するための「ドローンの壁」、ミサイルなどの空中脅威に対応する「欧州防空システム」、宇宙資産を保護する「欧州宇宙防衛」の構築などを挙げた。
今回の計画は、ウクライナ戦争後もロシアの軍事的脅威が継続するという危機感から生まれた。欧州委員会のカヤ・カッラス外務・安全保障政策上級代表は記者会見で、ウクライナ戦争が終結しても脅威は消滅しないとして、防衛力強化が急務だと強調した。

米国のドナルド・トランプ大統領が、欧州の安全保障ただ乗り論を提起し、防衛費増額を迫る状況も、EUが自立を推進する背景になっている。EUは具体的な時間表も提示した。東部戦線監視とドローンの壁は2026年末までに初期能力を整え、それぞれ2028年と2027年末までに完全稼働を目指している。
しかし、この大規模な計画のために新たな予算は割り当てられていない。EUは急増する加盟国の国防予算と、今年発足した1,500億ユーロ(約26兆3,569億円)規模の「欧州安全保障行動(SAFE)」融資プログラムなど、既存の資金を活用する方針である。
計画の成否を左右する鍵は、武器の共同購入の拡大にある。現在20%未満の共同購入比率を、2027年までに40%に引き上げ、予算の無駄遣いと非効率、武器システムの非互換性問題の解決を目指している。これは、2023年の欧州防衛産業戦略で設定した目標期限(2030年)を3年前倒ししたものである。
ウクライナの防衛産業をEU単一市場に統合する案も推進することが決定された。ウクライナのデニス・シュミハリ国防相は、「力によって平和を守るという欧州安全保障の発想における転換点だ」と述べ、EUの今回の計画を高く評価した。
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