5,000年前の人骨で作られたカップと仮面を発見 「まるでゴミのように捨てられていた」
中国で約5,000年前の人間の頭蓋骨から作られたカップと仮面が発見された。関連論文は国際学術誌『Scientific Reports』に掲載され、科学専門メディア「LiveScience」が最近その内容を報じた。
精巧に加工されたこれらの頭蓋骨遺物は、陶器の破片や動物の骨の残骸とともに発見されたものであり、その用途はいまだ専門家の間で謎に包まれている。
今回見つかった骨は、中国・良渚(りょうしょ)文化圏の遺跡から出土したもので、炭素年代測定の結果、紀元前3,000~2,500年頃、すなわち中国新石器時代にあたることが判明した。研究結果は今年8月末に『Scientific Reports』誌に掲載された。

考古学者らは5か所の水路や堀から50点以上の人骨を収集した。発見された遺骨の大半には、道具で割られたり、穴を開けられたり、削られたり、磨かれたりした痕跡が確認されたという。
研究の主著者である新潟医療福祉大学の生物学者、澤田純明氏は「加工された人骨の多くが未完成の状態で水路に捨てられていたことは、死者への敬意が欠けていた可能性を示唆する」と述べた。
また、遺骨には暴力的な死の痕跡や人為的な分解の形跡は見られず、「遺骨は遺体の腐敗後に処理された可能性が高い」と指摘した。
加工された骨の中で最も多かったのは頭蓋骨であった。研究チームは、成人の頭蓋骨4点を横方向に切断または割って作られた「頭蓋骨カップ」の痕跡を確認した。さらに別の4点は縦方向に割られ、頭蓋骨の仮面状に加工されていたという。

研究チームは論文の中で、「頭蓋骨カップは過去にも良渚文化の上層階級の墓から出土した例があり、宗教的または儀式的目的で作られた可能性がある」と説明している。一方、頭蓋骨製の仮面はこれまでに例がなく、今回の発見は特に注目に値する。
澤田氏は「都市社会の成立と、それに伴う伝統的共同体外の社会的他者との接触が、この現象を理解する鍵となる可能性がある」との見解を示した。
研究チームはまた、加工された骨の多くが未完成のまま放棄されていた点にも注目した。これは、人骨が希少な資源や高価値の素材として扱われていなかったこと、また急速に都市化した良渚文化圏で死者観が変化していたことを示すものとみられる。
カリフォルニア大学リバーサイド校の生物考古学者エリザベス・バーガー氏は、「今回の発見で最も興味深いのは、これらの人骨が事実上『廃棄物』のように捨てられていた点だ」と述べ、研究チームの「都市社会における匿名性の高まりと関係している可能性がある」という解釈に同意した。
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