
カンボジアで大規模な詐欺犯罪団地を運営し、巨額の富を築いたとされるプリンス・グループのチェン・ジー(Chen Zhi)会長が行方不明になったと伝えられている。
現地メディアの「カンボジア・デイリー」や「クメール・タイムズ」などによると、14日(現地時間)に米国と英国政府がプリンス・グループ等に対する制裁を発表する中、チェン・ジー会長の所在が明らかでなくなり、失踪説が浮上しているという。
1987年に中国で生まれたチェン・ジー会長は、2014年にカンボジア国籍を取得し、政界と結びつきながら急速に事業を拡大してきた。カンボジアではフン・セン前首相の顧問を務めるなど、政界にも強い影響力を持つ人物として知られている。一方で、米中両国の当局は、彼及びプリンス・グループに対する法的制裁を進めてきた。
先にアメリカ合衆国司法省はチェン・ジー会長を詐欺および資金洗浄などの容疑で起訴し、チェン・ジー会長およびプリンス・グループが洗浄したビットコイン12万7,271個(約2兆2,740億円)の没収訴訟を提起したと発表した。
英国政府も、カンボジア国内の犯罪拠点「太子団地」を実質的に運営しているゴールデンフォーチュンリゾートワールドを制裁対象に含めた。チェン・ジー会長が所有するロンドンの不動産資産を凍結し、英国の金融システムの利用を禁止したと明らかにした。
また、中国当局もプリンス・グループが詐欺行為を通じて不正な利益を得たと判断し、2020年に特別捜査班を設置したと報じられている。
一部では、チェン・ジー会長のカンボジア市民権が剥奪され、中国への送還が検討されているとの見方も出ているが、現在まで行方は不明のままだ。
チェン・ジー会長は昨年12月、グループ傘下のプリンス銀行取締役会議長職を辞任しており、その背景にも関心が集まっている。
一方、プリンス銀行では「バンクラン(取り付け騒ぎ)」の兆候も見受けられる。米英両政府による制裁発表後、プノンペン市内の主要支店には預金を引き出そうとする顧客が殺到し、店頭が一時混乱したと伝えられている。
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