米国、気候変動対策の国際協定を妨害か…「脅迫外交」で各国に圧力
ギャングのような手口」と批判も
米国、自国経済に悪影響を及ぼすとして外交官の入国禁止・制裁などを示唆

米国のドナルド・トランプ政権が、気候変動対策を目的とした国際協定を無効にしようと、各国に対して「脅迫外交」を行っていたと、米紙ニューヨーク・タイムズ(NYT)が6日(現地時間)に報じた。
NYTによると、先月、100カ国以上が船舶による汚染を減らすための国際協定の批准を進めていたが、米国がこれを阻止しようと前例のない圧力をかけたという。協議に関わった9人の外交官が証言した。
この協定は、国際海事機関(IMO)が数年にわたり協議してきたもので、汚染物質の排出量が多い船舶に課金することで、業界全体の環境対応を促す内容だった。
多くの国がこの案に賛同する構えを見せていたが、米国からの強い圧力を受けた一部の国が支持を撤回し、最終的にトランプ政権は採決を阻止することに成功したという。
あるアジア諸国の大使は「協定に賛成すれば、自国の船員が今後米国の港で下船できなくなる」と警告されたと明かした。また、カリブ海諸国の外交官は、「協定を支持すれば米国への入国を禁じられる可能性がある」と脅されたという。
マルコ・ルビオ米国務長官は、複数国の政府関係者に直接電話をかけ、協定への支持を続ければ金融などの分野で不利益を与える可能性があると伝えたとされる。
外交官らによると、こうした脅しは関税の賦課、制裁、外交官のビザ取り消しなど、多様な形で行われ、最終的に協定の採択を阻止する結果につながったという。
外交官たちは、米国のやり方は「無礼で個人的なもので、経済的に米国に依存する発展途上国を主な標的にしていた」と批判した。
協議に関わった関係者から報告を受けた民主党のシェルドン・ホワイトハウス上院議員は「まるでギャングが町の店に押し入り、ガラスを割って店主を脅すようなものだ」と述べ、トランプ政権の戦略を「衝撃と恐怖の暴力的手法」と非難した。
元米外交官でエネルギー省の当局者だったデイビッド・ゴールドウィン氏も「国家安全保障でもアルカイダ関連の決議でもない事案に対して、過剰な対応だ」と指摘し「交通違反に巡航ミサイルを撃ち込むようなものだ」と皮肉った。
ホワイトハウス、米国務省、エネルギー省はいずれも、個人的な脅迫や外交的圧力があったとの指摘を全面的に否定した。ただし、排出規制が米国経済に悪影響を及ぼすとの立場を改めて主張し、結果的に協定を阻止したことは認めたという。
トランプ政権は、米国産の石油・ガス・石炭の輸出拡大を主要政策に掲げ、化石燃料産業に不利な国際的な気候政策には一貫して反対してきた。
米国のパリ協定からの脱退を進めていたトランプ大統領は、地球温暖化を「人類史上最大の詐欺」「愚か者が作った科学」などと発言してきた。
ホワイトハウス報道官のテイラー・ロジャーズ氏は「トランプ大統領は、米国の利益に反する偽りの気候協定には加わらないと明確に述べてきた」としたうえで「IMOが各国に悪影響を及ぼす政策を押しつけた」と反論した。
さらにロジャーズ氏は「トランプ大統領は、IMOが米国を圧迫し、環境に優しいエネルギー詐欺を支援させることは許さない」と強調した。














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