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「戦略的価値で米中ロを翻弄」…ベトナムが貫く、“竹外交”の真実とは

梶原圭介 アクセス  

2日、ベトナムのハノイ国防省庁舎前である。ベトナムを公式訪問した米国のピート・ヘグセス国防長官が待機していたベトナムのファン・バン・ザン国防相から大型の花輪を受け取った。両大臣は儀仗隊を閲兵し、会談場所へ移動した。ヘグセス長官は「ベトナムが主権と地域の安全保障に対する強い意志を持っている点を高く評価する」と述べ、「米国はすでにベトナム海上警察に小型高速艇3隻と『T-6・テキサンII』12機のうち3機を引き渡しており、今後さらに多くの支援を継続する計画だ」と語った。

ロイター通信はこの日の会談で、米国が「C-130・ハーキュリーズ」輸送機、「シコルスキー・S-92」ヘリコプター、「CH-47・チヌーク」ヘリコプターを供給する案が議論されたと報じた。

ヘグセス長官はこの日、ベトナムの権力序列1位のトー・ラム書記長と2位のルオン・クオン国家主席と相次いで会談し、ドナルド・トランプ米大統領の代理として事実上の首脳外交を展開した。今回の米越国交正常化30周年を記念する外交日程だったが、実際には冷却化したベトナムとの関係を修復するための「緊急作戦」の性格も含まれているとの分析がある。

 引用:NewYorkTimes
 引用:NewYorkTimes

これに先立ち、ベトナムは米トランプ政権が「爆弾関税」を課したため、米国に対する強い不信感を示し、ロシアとの軍事的密着で対応した。ニューヨーク・タイムズ(NYT)は最近入手したロシアの軍需企業の文書を引用し、「ベトナムが今年、ロシア製『Su-35』戦闘機用の電子戦システム9台を受け取る予定だ」と報じた。するとトランプ大統領が側近のヘグセス長官を急派し、ベトナムをなだめるために動いたという。

今回のヘグセス長官の訪問は、ベトナムの「竹外交(bamboo diplomacy)」の成功事例として評価されている。竹外交は、幹は硬いが枝は柔軟な竹にたとえ、共産党独裁国家のアイデンティティを維持しながらも西側と幅広く交流するベトナムの外交政策を指す言葉である。実際にベトナムが最上級の外交関係である包括的戦略的パートナーシップを結んでいる国を見ても、自由陣営(米国・日本・フランス・オーストラリア)と権威主義(中国・ロシア)、非同盟(インド)などが均等に配置されている。

ベトナムはベトナム戦争を経て断絶した米国との関係を1995年に電撃的に正常化した。米国は2016年、ベトナムに対する武器禁輸措置を解除し、ベトナムを戦略的に優遇し、2023年には両国関係が「包括的戦略的パートナーシップ」に格上げされた。

ロシア・ウクライナ戦争(2022年2月に勃発)とイスラエル・ハマス戦争(2023年10月に勃発)を契機に国際社会の新冷戦構図が強化され、昨年中国の習近平国家主席とロシアのウラジーミル・プーチン大統領が相次いでベトナムを訪れた。今年には旧植民地支配国だったフランスのエマニュエル・マクロン大統領が夫婦同伴の国賓訪問形式でベトナムを訪れ、原発・先端技術分野での協力を約束した。

朝鮮半島に関連しても、トー・ラム書記長は8月、韓国のイ・ジェミョン政権発足後初の外国首脳国賓訪問としてソウルを訪れ、極めて手厚い歓迎を受け、翌月には北朝鮮労働党創建80周年の閲兵式を迎えて北朝鮮の平壌を訪問した。経済・文化・人的交流を通じて緊密になった韓国だけでなく、共産党統治体制のアイデンティティを共有する北朝鮮にも特に配慮する姿勢を見せた。

このように陣営を超えた外交は、ともすれば「二股」や「コウモリ」と呼ばれ、両方から排斥される危険がある。オーストラリア国立大学が発行する「East Asia Forum」は「ベトナムの『二重の列並び(dual alignment)』は、二つの大国の双方の不信を招く危険がある」と警告したことがある。それでも、国際政治においては稀に見るベトナムの「竹外交」が通用している背景には、ベトナムの地政学的価値が大きな役割を果たしているとの分析がある。

ベトナムは北側で中国と接しており、自国の領土に面した南シナ海の海域を「東海」と呼び、中国に対抗している。また、中国と強力に領有権を争う米国の核心的な軍事同盟であるフィリピンとも近い。米中両国にとって戦略的要所なのだ。米国はベトナムを米国主導の安全保障ネットワークに引き込み、中国に対する牽制を強化しようとしている。一方、中国はベトナムが米国側に傾くことを懸念している。

中国南部と東南アジアをつなぐ拠点であり、サプライチェーンの要所としてのベトナムが持つ経済的価値も相当だ。ベトナムは半導体生産基地として中国を代替できる潜在能力を持っているだけでなく、レアアースの埋蔵量も世界5位圏だ。韓国・国立外交院のチョ・ウォンドゥクASEAN・インド研究センター長は「米中両国がインド太平洋地域でベトナムの地政学的・地経学的有用性をよく理解しているため(竹外交に対して)内心は不満でも見過ごす」と述べ、「ベトナムも自分たちが持つ戦略的利点を最大限に活用している」と語った。

梶原圭介
editor@kangnamtimes.com

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