
中国による台湾への軍事侵攻が差し迫った場合、日本とオーストラリアが米国主導の「先制的制裁」で重要な役割を果たすべきだとする研究結果が発表された。
米国の非営利・無党派シンクタンク、ランド研究所は最近の報告書で、台湾への攻撃が切迫していると判断される状況では、日本とオーストラリアが先制制裁の中核を担うことで、中国の軍事行動を抑止できる可能性があると指摘した。
報告書は「3~6カ月以内に台湾海峡で戦争が発生すると見込まれる場合、米国は中国本土に対し大規模な先制的経済制裁を発動する可能性がある」と明らかにした。
『中国事態時の経済的抑止力』と題された報告書は、米国の制裁効果を最大化するには同盟国の参加が不可欠だとし、日本とオーストラリアを最も重要な国として挙げた。太平洋地域での安全保障上の利害と米国との緊密な関係を踏まえ、中国に対抗する中核国は日本、米国、オーストラリアになる可能性が高いと分析した。
英国も潜在的当事国として挙げ、米国との歴史的関係や国際安全保障における長年の主導的役割を理由にした。報告書は「欧州連合(EU)や加盟各国の対応には、大きな期待が寄せられていない」とした。
10日付の香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポストは、6日に発表された報告書の内容を報じた。報告書は、中国を対象とする措置として、金融制裁や天然資源輸送の制限、二重用途技術の輸出管理、中国本土の企業や船舶、個人への懲罰的措置などを盛り込む可能性があると提案した。
日本とオーストラリアの制裁参加は容易ではないとも指摘した。日本は比較的迅速に制裁を発動できる技術的能力を備えているが、政治的判断は難しいと分析した。制裁の効果や中国の報復、さらに中国国内の日本人と資産の安全を考慮する必要があり、米国をはじめとする国際社会の後押しが求められるとした。
オーストラリアについては、中国の脅威が実存的であると判断されるか、即時的な安全保障上の利益を重大かつ回復不能な形で脅かす場合にのみ、経済的抑止手段を採用すると予測した。米国はオーストラリアが実質的な先制措置に加わるよう、相当な圧力をかける必要があるとした。
中国の台湾侵攻に対する英国の立場は不明確だが、いずれの選択肢も排除できないとし、米国との強い連携と圧力があれば「厳重な処罰」を科す可能性があると予測した。
米国は、効果的かつ時機を逃さない措置を講じる能力を高めるため、事前に緊急計画を策定する必要があると指摘した。こうした計画の存在を公に示すこと自体が、中国に対し「台湾を攻撃すれば重大な結果を招く」との明確な信号になり得るとした。
経済制裁だけで抑止力を確保するのは難しいとし、外交的連携の構築や、説得力ある軍事対応を可能にする兵力配置など、複数の手段を組み合わせる必要があると指摘した。経済的措置の活用は、包括的な緊急計画の一部として位置づけられるべきだとした。














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