
「世界1位の人口大国」から「少子化に悩む」国に転落した中国政府が、これを解決するための「斬新な」少子化対策を発表した。来年から避妊薬や避妊具に対して付加価値税を課し、価格を引き上げることで出産を促すという、一見矛盾した施策を行う。
現地時間1日の米『ブルームバーグ通信』によると、中国全国人民代表大会(全国人代)は最近、付加価値税法を改正し、これまで免税であったコンドームを含む避妊薬と避妊具に対し、来年1月から13%の付加価値税を課すことを決定した。中国当局が別途通知したわけではなく、従来免税が適用されていた品目から外れることで課税計画が明らかになった。
世界最大の人口を誇っていた中国は、人口抑制のために改革開放以降、2015年までの35年間は「一人っ子政策」を義務化していた。避妊具に対する付加価値税は厳格な一人っ子政策にもかかわらず、出生率が急増していた1993年から免除されてきた。避妊薬と避妊具については税金が課されるが、子育てや高齢者の介護、障害者、結婚などに関連するサービスについては、来年から免税が実施される見込みだ。
中国の昨年の出生児数は954万人余りで、3年連続で減少している。これは10年前(約1,880万人)の半分の水準だ。中国の人口も3年連続で減少し、昨年末の時点で14億800万人となっている。国連の世界人口推計報告書は、中国の人口が2030年には14億人を下回る13億8,915万人に減少し、2050年には12億6,028万人にまで減少すると予測している。
これを受けて、中国政府は先に出産家庭への現金支給から産前・産後休業、育児休業の延長など、多様な出産奨励政策も発表した。専門家は、コンドームに付加税を課す措置が出生率に直接的な影響を与えることはないだろうが、出産に優しい社会の雰囲気を醸成するための象徴的な措置になると見ている。育媧人口研究院の許野富(キョヤトミ)博士は「税金の課税は実質的な効果よりも象徴的な意味が大きい」と述べ、「これは出産を奨励し、中絶を減らす社会的環境を形成しようとするという政府の政策方向を示している」と語った。
一方、今回の対策は公衆衛生の観点から懸念を呼んでいる。世界的にはヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染が減少する傾向にある中、中国では急増しているためだ。中国疾病予防コントロールセンターによると、中国のHIVおよび後天性免疫不全症候群(AIDS)の事例は、2002年の人口10万人当たり0.37件から2021年には8.41件に大幅に増加した。
中国のネットユーザーは、課税によるコンドームの価格上昇による計画外の妊娠や性感染症の拡散の可能性を指摘した。中国のSNSである微博(中国版Twitter)では、政策の実効性に疑問を呈する反応が相次いだ。あるネットユーザーは「若い世代のHIV感染が増加する中で、コンドームの価格を上げるのは不適切な措置だ」と批判した。また別のネットユーザーは「コンドームを買う余裕もない人が、どうやって子供を育てるのか」と述べ、「税金の課税だけでは出生率の向上には役立たない」と指摘した。













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