香港のユーチューバー、惨事の被害者を嘲笑し逮捕

香港で起きた集合住宅火災の惨事で、生後1歳の乳児を含む159人が死亡したと集計されるなか、被害者に「因果応報」などと暴言を吐いたユーチューバーが警察に逮捕された。
4日、中国メディア観察者網や台湾・三立新聞網などによると、香港警察は前日、「扇動の意図をもって行為した疑い」で男性の陳某容疑者(26)を逮捕し、事情を聴いている。
陳容疑者は、香港の公営住宅団地「宏福苑」で火災が発生した翌日の先月27日、被害者を侮辱する内容の動画を撮影し、YouTubeに投稿した疑いがもたれている。
登録者数5万人超のチャンネルを運営する陳容疑者は、この動画の中で火災の被害者に向けて「罪が深い」、「因果応報だ」、「同情する必要はない」などと発言し、暴言を繰り返した。
さらに火災現場にも足を運び、炎に包まれた建物を背に自撮り写真を撮影。指でVサインを作り、満面の笑みを浮かべた写真がSNS上に拡散し、強い批判と怒りを招いた。
台湾メディアによると、陳氏は香港で、いわゆる過激系インフルエンサーを指す「ホワイトカード連盟」の一人として知られている。
「ホワイトカード」は、本来は香港政府が交付する障害者手帳(障害者登録証)を意味する。しかし、TikTokなどで活動する一部インフルエンサーたちは、実際には障害がないにもかかわらず、自らを「ホワイトカード連盟」と称し、再生数目当てに奇行を繰り返す動画を投稿している。
地下鉄などの公共空間で大声を上げたり、通行人に絡んだり、学校などに脅迫状を送りつけるほか、故人となった有名歌手の墓碑を損壊したケースも報告されている。

台湾メディアによれば、陳容疑者もこれまでに、ファストフード店で他の客が購入した食べ物を盗んで逃走したり、台風被害の現場で猫を連れ去ろうとして警察に摘発されたりしているという。今回の逮捕の際も、カメラに向かって嘲笑するような表情を見せていたと伝えられている。
香港政府は今回の大規模火災を受け、SNSなどで被害者を中傷・嘲笑したり、虚偽情報を流して世論をあおる動きが出ているとして、厳しく対処する方針を打ち出した。
香港特別行政区政府の報道官は前日、「悪意ある外部勢力や反中勢力が火災発生後、SNSなどを通じてフェイクニュースを流し、社会の分断をあおっている」と指摘し、「消火・救助活動を妨げるだけでなく、社会の安定と国家安全を脅かしかねない」と強い懸念を示した。
そのうえで「政府に対する憎悪をあおる行為には断固として一線を画すべきだ」と述べ、「違法行為は必ず責任を追及する」と警告した。
一方、この火災による死者は159人、負傷者は79人と報告されている。
犠牲者の中には生後1歳の女児や97歳の高齢者のほか、消防隊員1人、外国人家政労働者10人、現場作業員5人が含まれる。重傷者のうち4人は依然として危篤状態だという。
行方不明者も31人に上っており、死者数はさらに増える可能性があると現地メディアは伝えている。













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