
米国のトランプ大統領政権が国家安全保障戦略(NSS)で台湾防衛を最優先と規定する中、中国による台湾侵攻が予想以上に多大な犠牲をもたらす可能性があるとの分析が示された。
米国のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙は6日(現地時間)、「中国による台湾侵攻がどうなるかを事前に見てみると、島嶼で構成される台湾を征服するための上陸作戦は、人類の歴史上最も困難な軍事作戦の一つになる」と報じた。
WSJ紙は、中国が世界最大の海軍を保有しているが、台湾侵攻は人類の歴史上最も複雑な上陸作戦になると予測した。130キロメートルを超える荒れた海を渡り、要塞化された台湾に数十万人を上陸させなければならないためである。
WSJ紙によると、中国軍は本格的な侵攻に先立ち、大規模な心理戦と情報戦を通じて台湾の士気と外部との結束を弱めようと試みる。続いて空襲と海上封鎖により防御体制を弱体化させた後、上陸を試みるのが中国軍の基本的な台湾侵攻シナリオである。
台湾上陸作戦の過程では、中国艦艇の沈没、上陸軍に対する海上攻撃、海岸線の壊滅など、第二次世界大戦当時と類似した激戦が繰り広げられる可能性がある。
問題は、台湾の海岸線の多くが規模が小さく、大規模な兵力を集結させるのが困難である上に、一部は山岳地帯や都市、農地(田畑)に隣接しているため、海岸防御線を突破するのが困難であるという点である。
WSJ紙は、「台湾の海岸線のほとんどが崖や干潟であり、大規模な上陸は不可能である。上陸可能な海岸は14カ所程度だが、ここはすでに台湾軍が要塞化しているため、上陸する中国軍が集中攻撃を受ける可能性のある『致命的なボトルネック(choke point)』となる」と分析した。
中国軍、地理的悪夢に続き、兵站(へいたん)の悪夢に陥る可能性も
中国軍が何とか大規模上陸作戦に成功したとしても、その後、兵站問題に直面する可能性がある。
中国軍が台湾に上陸した後、さらに大規模な後続兵力と補給品を輸送するために港と空港を占領しなければならないが、台湾内で海岸・港・空港が隣接した地域はごくわずかである。
さらに、台湾西部の都市と東部の険しい山岳地帯に閉じ込められれば、戦争が長期化し、その後の兵站不足問題はさらに深刻になるというのがWSJ紙の予測である。
WSJ紙は、「中国軍が一旦上陸すれば(台湾軍の)待ち伏せが容易な密集した都市地形と直面する」とし、「台湾は飲み込むのが難しく、苦痛を伴う『ハリネズミ戦略』に依存しなければならない」との見方を示した。
ハリネズミ戦略とは、大規模な従来型戦力よりも低コスト・高効率の非対称武器体系を集中して配備し、ハリネズミが持つ棘のように弱く見える台湾が攻撃されたときに敵に致命傷を与える能力を意味する。これは、中国が台湾を侵攻した際に得られる利益よりもコストがはるかに大きいと判断させ、そもそも侵攻を思いとどまらせる戦略でもある。
ただし、WSJ紙は、中国が台湾を侵攻した直後に米国と衝突する可能性は低いと見ている。
台湾の防御網を無力化し、大規模上陸作戦を成功裏に終えたとしても、日本やグアムなどの米軍基地を先制攻撃することは米中間の戦争につながる可能性があるためである。
WSJ紙は、「中国軍は艦艇が台湾海峡を通過した後、台湾の戦闘意思を挫き、米国の介入を抑制するための大規模ミサイル攻撃を開始する」とし、「軍艦や戦闘機などを総動員して台湾を攻撃した後、地上軍投入前までに降伏を強要するための『衝撃と恐怖(shock and awe)戦術』による火力攻撃を敢行する」と展望した。
このメディアの展望が現実化した場合、中国は台湾海峡の防御網を突破し、空中戦・地上戦を展開したとしても予想以上に大きな犠牲を払わなければならない。このような過程は、中国の戦争勝利の可否を判断することにも影響を与える可能性がある。
一方、マルコ・ルビオ国務長官は、指名者であった昨年1月、中国が今後5年以内に台湾を侵攻する可能性があるとし、「ハリネズミ戦略は台湾侵攻のコストが利益よりも大きなものにする戦略である」と強調した。
続けて、「我々は中国が『台湾侵攻で最終的に勝利できるが、そのコストは耐えられないほど大きい』と信じるように仕向けたい」と述べた。














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