米連邦通信委員会が安全保障上の懸念示す
DJIなど外国製ドローンを事実上全面禁止
中国製ドローンは世界シェア約70%

米政府が世界のドローン市場で約70%のシェアを持つ中国メーカーDJIを含む外国製ドローンおよび主要部品の輸入を禁止した。
AP通信によると、米連邦通信委員会(FCC)は23日、すでに販売・使用されている機種を除き、中国で製造されたDJIやAutel Roboticsなどの新型ドローンについて、米国内での使用を認めない措置を取ったという。
農業、測量、法執行、映像制作など幅広い分野で利用されてきた中国製ドローンを巡る今回の規制は、米議会が国家安全保障上の脅威を理由に国防関連法案を可決してから約1年を経て、本格的に適用された。
この措置により、中国ドローン大手2社は米国向けに新たな機体や部品を輸入・販売・流通させることができなくなり、数千人規模のドローン利用者が機体や関連部品の買いだめに走っている。
FCCは2026年のサッカー・ワールドカップや2028年ロサンゼルス五輪といった大規模国際イベントを念頭に「ドローンが犯罪者やテロリストに悪用される可能性がある」として、規制の必要性を強調した。
米政府はすでに2017年以降、中国製ドローンが中国共産党による情報収集に利用される恐れがあるとして、電力会社に対し、ダムや送電網の点検にDJI製品を使用しないよう警告してきた。

これに対しDJIは「米政府の決定には失望している」とし「当社の情報セキュリティに関する懸念を裏付ける証拠は示されていない。今回の措置は自由市場の原則に反する」と反発している。
米国のドローン利用者からは「中国製だからDJIを使っているのではない。西側には代替できる製品が存在しない」との声が相次いでいる。
米国には約50万人の商業用ドローン操縦資格保有者がおり、彼らは議会やホワイトハウスに抗議書簡を送付し「DJIのドローンが選ばれる理由は入手しやすく、価格が安く、性能が高いからだ」と訴えている。
不動産向けの空撮写真と映像を撮影しているドローン操縦士のジェイソン・コリップ氏は、ウォール・ストリート・ジャーナルに対し「私のような普通の自営業者がなぜ制約を受けなければならないのか」と不満を述べ「小規模事業者にとって、中国製ドローン以外に現実的な選択肢はない」と嘆いた。
一方で、この規制を追い風と捉える企業もある。
米テキサス州のドローンメーカー・ハイリオ(Hylio)は、中国製ドローン輸入禁止によって成長の機会を得たとみられている。
ハイリオのアーサー・エリクソンCEOは「農家が肥料散布に使うスプレードローンの生産拡大に向け、新たな投資が相次いでいる」と明かした。ただ一方で「FCCが中国製にとどまらず、すべての外国製ドローンを禁止するとは想定していなかった」とし「グローバルな供給網が存在する中、これを一気に遮断するのは正気の沙汰ではない」と批判した。













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