首相官邸幹部の「核保有が必要」発言をやり玉に

中国の国営メディアは、日本の右翼勢力が核保有への野心を表面化させ始めたとして、国際社会は初期段階から抑え込む必要があると主張した。
人民日報系の英字紙『グローバル・タイムズ』(環球時報)は24日、「国際社会は日本の核保有への衝動を断固として阻止すべきだ」と題する論評を掲載した。 その中で、首相官邸の幹部が「核兵器を保有すべきだ」と主張したとされる発言を取り上げ、強く批判した。
論評は、近ごろ日本の政治家が核政策の「レッドライン」に挑む動きを見せているとし、右翼勢力が周到に企図した「政治的な探り」だと位置付けた。さらに、日本の核保有への意図はもはや水面下でささやかれる段階ではなく、「司馬昭の心は路人皆知」(野心は道行く人まで皆知っている、の意)に等しいほど露骨になったとの見方を示した。
そのうえで国際社会に対し、外交的非難や世論の圧力にとどまらず、行動によって日本の核保有の動きを当初から抑止すべきだと訴えた。日本政府は言葉では非核三原則を掲げているが、実際の動きはその土台を揺るがしかねないとも指摘している。
また、原子爆弾の投下を受けた国として、日本は本来、国際的な核不拡散体制の最も確固たる担い手であるべきだったにも関わらず、核兵器保有に傾斜しているように見えること自体が、歴史認識のゆがみだけでなく、戦略上の危うさを示していると論じた。国連安全保障理事会や国際原子力機関(IAEA)を軸に、利害関係国・機関が連携し、日本の潜在的な核活動を包括的に監視し抑止する仕組みを構築すべきだとも提案した。
具体策として、IAEAによる特別査察の強化、国連など多国間の枠組みでの「レッドライン」設定、地域レベルの共同予防メカニズムの構築を列挙した。IAEAが日本を「重点監視対象」に位置付け、核物質の流れを国際社会の監視下に置くことで、民生分野を隠れ蓑にした軍事転用の可能性を遮断すべきだとも主張している。
さらに周辺国の共同対応にも言及し、日本の地理的条件を踏まえれば、核武装の阻止という共通利益のために近隣国は結束すべきだとした。仮に日本が核保有に向けた具体的行動を示した場合には、周辺国が立場を調整して協力し、「冒険的行動」に見合う耐え難い代償を払わせる必要があるとも踏み込んだ。
日本の核保有への動きを抑えるうえでは米国の態度も重要だとし、「日米原子力協定」など二国間の枠組みを活用して、技術面・政治面の双方から核武装を効果的に封じ込める責任と能力が米国にはあるとも論じた。
論評は、アジア太平洋地域の平和と安定の維持は地域の共通利益であり、国際社会の共同責任だと強調した。そのうえで、日本政府は情勢を見誤らず、核不拡散体制を守ろうとする国際社会の決意を過小評価してはならないと主張し、核武装によって「大国の夢」を実現しようとする試みは、結局日本を回復不能な深みに追い込むことになると警告した。













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