
香港警察は日本円10億円強盗事件に関連すると思われる車両を上環ジャービス・ストリートで捜索し、証拠を押収した。
香港中心部で、日本円約10億円を狙った強盗事件が発生した。香港警察は主犯格を含む男女15人を逮捕し、周到に準備された組織犯罪とみて捜査している。犯行はわずか30秒で終了し、犯人らは事前の張り込みや明確な役割分担のもと、車両を使った段階的な逃走まで実行していた。
22日(現地時間)、「共同通信」および香港の現地メディアによると、香港警察は同日記者会見を開き、4日前に香港島・上環の永楽街一帯で発生した大規模な現金強盗事件に関連し、強盗共謀の疑いで15人を逮捕したと発表した。この中には犯行を主導した中核人物も含まれているという。
事件は18日午前9時頃に発生した。日本の仮想資産・ブランド品流通企業に所属する中国国籍の従業員2人は業務上日本円10億円を持って香港に入国し、上環地域の両替所に移動中に強盗に遭った。

警察は事件直後、現場付近で大量の日本円を所持していた中国国籍の男性1人を拘束したが、捜査の結果、この男性と今回の強盗事件との直接的な関連性は低いと判断した。
香港の親中メディア「文匯報」は捜査内容を引用し、犯行組織が被害者の到着以前から現場近くに潜伏していたと報じた。被害者が姿を現すと、犯人らは乗用車で接近し、車から降りてすぐに現金入りのスーツケースを奪取した。その後、約30秒で犯行を終え、現場を離れたという。
犯人らはすぐに近くで待機していた7人乗り車両と合流し、日本円が入ったスーツケース4個を移し替えた後、再び逃走した。警察は、犯人らの動きが極めて迅速だったと説明し、事前の下見、実行、逃走の役割が明確に分担されていたと明らかにした。
また、容疑者の一部が香港の犯罪組織「三合会」と関係している可能性も指摘されている。中国国営メディア「環球時報」や香港紙「星島日報」は、警察のブリーフィングを引用し、逮捕者の中に三合会の背景を持つ人物が含まれていると報じた。警察は、組織犯罪への関与や被害者との事前接触の有無については捜査中であり、追加逮捕の可能性も排除していない。

捜査チームは事件現場近くで犯行に使用されたと思われる乗用車を発見した。車内からは包丁(肉用の刃物)や使用済みのマスク、飲料容器などが押収された。その後、警察は新界地域で別の逃走車両も見つけた。しかし、車内では特に目立った物は発見されなかった。
◆ なぜ両替所と現金移動過程が組織強盗の主要標的になるのか
専門家によると、両替商や現金輸送の過程が組織強盗の主な標的となる理由は、高額の現金が特定の時間帯に集中する点にある。また、移動ルートや時間が比較的固定されていることも要因だ。両替商は一定の時間帯に多額の現金を銀行へ移動させることが多く、事前に下見や尾行を行えば犯行の成功率が高まるという。
今回の香港の事件も、こうした条件が重なった典型的なケースとみられている。警察は、犯人らが被害者が銀行へ向かうため車から降りる正確なタイミングを狙っていたと判断しており、突発的な犯行ではなく、事前情報に基づく計画的犯行とみている。捜査当局は、犯行前に情報がどのように入手されたのか、その経路を重点的に調べている。
香港警察は現在、防犯カメラ映像や押収物、容疑者の供述などをもとに捜査を継続しており、奪われた現金の行方やさらなる共犯者の有無を追っている。













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