「私への狂的な執着」発言が侮辱だと波紋
「不適切で無礼」党内からも批判噴出

ドナルド・トランプ米大統領が、ハリウッドの映画監督ロブ・ライナー氏夫妻の殺害事件をめぐり、故人を侮辱するような発言を投稿し、波紋が広がっている。夫妻を殺害した容疑者が、作品制作でも関わりのあった息子だと判明したことも重なり、米社会に衝撃が走った。
トランプ大統領は15日(現地時間)、自身のSNSに「昨夜、ハリウッドで非常に悲しい出来事が起きた。かつて才能あふれる映画監督でありコメディー俳優でもあったライナー氏が、妻ミシェル氏とともに亡くなった」と書き込んだ。そのうえで、「報道によると、彼は『トランプ錯乱症候群(TDS)』という精神疾患によって、周囲に激しい怒りを引き起こしていた」と主張し、「私への狂信的な執着で周囲を狂わせ、偏執は極限に達していたという。安らかに眠ってほしい」と付け加えた。
TDSは、トランプ大統領への強い反対者を揶揄する文脈で用いられる言葉として知られる。民主党寄りの立場からトランプ大統領をたびたび公然と批判してきたライナー氏の言動を、精神疾患のように扱った格好で、与党・共和党内からも批判が出た。ドン・ベーコン下院議員(ネブラスカ州)は「酒場の酔客が口にするような言葉で、大統領が言うべきことではない」と指摘した。トーマス・マッシー下院議員(ケンタッキー州)も「ライナー氏への感情とは別に、残虐に殺害された人物に対してこうした発言をするのは不適切だ」と批判した。
ライナー氏は『恋人たちの予感』や『ミザリー』、『ア・フュー・グッドメン』などで知られ、14日、ロサンゼルスの自宅で妻とともに死亡しているのが見つかった。警察は息子ニック容疑者を殺人の疑いで逮捕した。ニック容疑者は10代の頃に薬物依存に苦しみ、2015年には当時の経験や父親との関係を題材にした映画『ビーイング・チャーリー』の制作に関わった。事件前には父親と口論していたと米紙ニューヨーク・タイムズが報じている。













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