
「今回の映画は、基本的に目に見えるものを軸に構成している。ただし、映っていない部分も同じくらい重要だ。作中で建築について『見えないものこそ本質だ』という言葉が出てくるが、そうした考え方を強く意識しながら制作した」
是枝裕和監督が、ヒューマノイドを題材にした新作を携え、韓国で記者会見に臨んだ。
4日、ソウル江南区・三成洞(カンナム区サムソン洞)のMEGABOX COEXで映画『箱の中の羊』(監督・是枝裕和)の記者会見およびメディア向け試写会が行われた。会場には是枝監督のほか、作中でヒューマノイドを演じた子役の桒木里夢が出席した。
同作は、亡くなった子どもの代わりとして家庭に迎えられた7歳設定のヒューマノイドが、家族として受け入れられる喜びと、再び見捨てられるかもしれない不安の間で揺れ動く姿を描く。『万引き家族』『怪物』でカンヌ国際映画祭のパルムドールや脚本賞を受賞した是枝監督の最新作となる。
この日、是枝監督は、ある記事をきっかけに本作の着想を得たと明かした。生成AIによって亡くなった人をよみがえらせるビジネスが中国で広がっているという内容の記事だった。
上海に足を運び、そのビジネスを手がける経営者にも話を聞いたという。すでに亡くなった人の映像をもとに制作された映像作品も目にしたと説明した。
また、是枝監督は子役の自然な演技を引き出す演出で知られている。『誰も知らない』、『そして父になる』、『万引き家族』、『怪物』などでは、子役の繊細な演技が作品と強く結びつき、大きな話題を呼んできた。
今回の作品では、直感的に桒木里夢がカケル役に適していると感じたという。「最初に会った時、この子だと確信した」と振り返る一方で、思い込みに頼らず、複数段階のオーディションを通じて客観性を重視したと説明。「自分だけでなくスタッフ全員の意見を踏まえて決めた」と強調した。
さらに桑木については、通常の子役とは異なる柔軟さがあるとも語った。テイクごとに演技のニュアンスや雰囲気を変えることがあり、「遊ぶように演じていた印象だった。そのため、子役という枠では捉えきれないと感じる瞬間もあった」と称賛した。
桒木里夢は、是枝監督からどのような指示を受けたのかという質問に対し、「自分らしく、君らしく演じるようにと言われた」と語った。他の監督は現場で具体的に演技指示を出すと聞いていたが、是枝監督は「君らしくやればいい」とだけ穏やかに伝えてくれたという。
今年のカンヌ国際映画祭コンペティション部門にも招待された『箱の中の羊』は、現地でもさまざまな反応を集めた。是枝監督は「映画の中では異質な二つの存在が共存する様子を多面的に描いている」とした上で、「異質な存在が共存することは難しさもあるが、面白さでもある」と語った。
さらに、「子どもを失った母親は、子どもにきつい言葉をかけてしまったことを後悔し、父親は子どもに声をかけなかったことを悔やむ。そこから物語は始まる」と作品の出発点を説明した。
また、「スクリーンに映るのはヒューマノイドや森、カップラーメンや焼きそばだが、その裏にある見えないものを想像しながら見てほしい」と鑑賞ポイントを伝えた。
なお、『箱の中の羊』は韓国で10日に公開される。













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