耳が詰まった感じがしたり、耳鳴りが聞こえる場合、突発性難聴の可能性が考えられる。突発性難聴は、特に原因もなく突然発症することが多く、患者の中には聴力を完全に回復できないこともある。この疾患は、初期治療が非常に重要であるため、症状とその対処法を事前に知っておくことが大切だ。
突発性難聴とは、純音聴力検査で3つ以上の連続した周波数で30dB以上の聴力損失が3日以内に生じる感音性難聴を指す。この疾患は、数時間から2〜3日以内に突然発症し、通常は片耳に現れる。耳鳴り（耳の中で音が鳴る症状）、耳閉感（耳が詰まった感じ）、めまいなどの症状が伴うことがある。
突発性難聴の原因はほとんどの場合、明確ではない。主な原因としてはウイルス感染や血管障害が挙げられるが、それ以外にも自己免疫疾患、聴神経腫瘍などが原因として考えられている。現在では、複数の要因が相互に作用して、突発性難聴が発症することが疑われている。
突発性難聴の患者の約3分の1は聴力を完全に回復するが、さらに3分の1は部分的に回復し、聴力が40〜60dB程度まで低下することがある。残りの3分の1は聴力を回復できず、患者の15%は難聴が進行してしまう。初期の難聴が重度であったり、語音明瞭度が低下している場合、またはめまいを伴っている場合、治療が遅れるほど回復の見込みは低くなる。
突発性難聴の治療は、主にステロイドなどの抗炎症薬を使用し、血流改善薬、血管拡張薬、抗ウイルス薬、利尿薬などを併用することもある。この疾患の治療にはゴールデンタイムがあり、症状発現から1週間以内に治療を始めることで、患者の70%以上が聴力回復を期待できる。しかし、1週間を過ぎると治療の成功率は20%未満に低下するという研究結果もある。特に、普段から聴力が弱い人や小児、高齢者は、より早急に対応することが求められる。
推定される原因や症状に応じて、鼓膜内にステロイドを直接注入したり、外科的治療が行われることもある。すべての治療は入院と絶対安静を原則とし、治療経過は聴力検査を通じて慎重に観察する必要がある。この際、患者は十分な休養を取る必要があるため、静かで快適な環境を整えることが重要だ。
突発性難聴を予防するには、基礎疾患の管理が不可欠だ。糖尿病、高血圧、腎不全などの慢性疾患は、突発性難聴のリスクを高めるため、厳格に管理する必要がある。また、日常的に耳の疲労を軽減する習慣も大切だ。世界保健機関（WHO）は、イヤホン使用時に最大音量の60%以下で1日60分以内の使用を推奨しており、1時間以上使用する場合は、5分程度の休憩を取ることが推奨されている。カラオケなどの100dB以上の騒音環境に15分以上繰り返しさらされることは避けるべきであり、騒音環境に長時間いた後は、耳を十分に休ませる必要がある。
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