冷蔵庫は家庭で食品を保存する上で欠かせない必需家電である。だが、すべての食材が「ただ冷蔵庫に入れるだけ」で安全に保管されるわけではない。
冷蔵庫内の温度は場所によって微妙に異なる。特に扉付近は頻繁な開閉によって温度変化が大きい。こうした扉側に傷みやすい食材を置くと、通常よりも早く傷んだり風味が損なわれたりする恐れがある。一方で、冷蔵庫の奥の方は比較的温度が一定で低いため、食品の品質を維持しやすい。
同じ温度設定でも、置く場所によって鮮度の維持に大きな差が出る代表的な食材を5つ紹介する。

まず、牛乳は扉側よりも冷蔵庫の奥に置く方がはるかに良い。牛乳は0〜4度の一定した低温で保存することで鮮度が長く保たれる。冷蔵庫の扉部分は開閉が頻繁に行われるため温度変化が激しく、この場所に保管された牛乳は比較的早く傷みやすい。牛乳は開封後、時間が経つにつれて風味が落ち、細菌の繁殖も早まる。したがって、牛乳は冷蔵庫の奥の棚、特に下の段に置くのが最も適している。
次に、生卵も扉側ではなく冷蔵庫の奥に保管するのが適切である。一部の冷蔵庫には扉部分に卵専用の収納スペースが設けられているが、これはスペースの有効活用を目的としたものであり、卵の鮮度を保つための最適な位置とは言えない。卵黄や卵白は小さな温度変化にも品質が左右され、特に頻繁に温度が変化すると内部の水分が蒸発し、鮮度が低下する。冷蔵庫の中段奥に保管するのが理想的だ。
そして、生肉や生魚は冷蔵庫内でも最も温度が低く保たれる場所、つまり一番下の奥に保管するのが望ましい。肉類や魚は非常に腐敗しやすい食材であり、保存温度がわずかに上昇するだけで細菌が急速に繁殖する可能性がある。特に開封後の肉や処理済みの魚は密閉容器に入れ、冷蔵庫の奥深くに保管することで細菌の増殖リスクを抑えることができる。冷蔵庫に「肉・魚専用の保存引き出し」がある場合は、そこが最適な保管場所である。
また、サラダ用の葉野菜やハーブ類は、低温の保たれる奥の方に保管することで、シャキシャキとした食感を長く維持できる。特に葉物野菜は温度変化に敏感で、少しでも常温に近い環境にさらされると、すぐにしおれたり柔らかくなったりする。プラスチック製の密閉容器にキッチンペーパーを敷き、その上に野菜を入れて中段奥に置くと、湿度と温度の両方を適切に管理することができる。ハーブも同様に、水気をしっかり拭き取った状態で密閉し、冷蔵庫の奥に保管することで香りを長く保てる。

最後に、ヨーグルトやチーズなどの乳製品も、冷蔵庫の扉部分ではなく奥の棚に保管するのが安全である。発酵食品である乳製品は細菌が活性化しやすく、温度変化に非常に敏感である。扉側に置くと風味が変わったり、表面に水分が浮いてくるといった問題が起こりやすい。特に高温にさらされると、乳製品に含まれるたんぱく質が変質し、消化器系に悪影響を及ぼす恐れがあるため、必ず温度が安定している場所に保管する必要がある。