
生きていれば、常に良いことばかりがあるわけではない。気分を害したり、怒りを感じたり、悪い出来事が起きたりした場合、どう対処すべきだろうか。ただ、悪いことに対して大騒ぎすることは絶対に避けるべきなのは確かだ。欧州の『仕事と組織心理学ジャーナル』の関連研究によると、悪い出来事に対する不満は、その出来事と自分自身をより強く結びつける原因となる。その結果、悪い記憶が長期間頭の中に残ってしまう。では、悪い出来事に対する賢明な対処法を探っていこう。
◆ 悪い出来事に対する不満を記録するとどうなるか
オランダのアイントホーフェン工科大学と米コロラド大学の共同研究チームは、金融、製造業、医療業界に従事する112人を対象に、3日連続で日記をつけるよう指示した。1日の終わりに、苛立ちを感じたり大騒ぎしたりしなかったかなどについて記録してもらったのだ。
研究チームは、悪い出来事に執着しない人ほど「良いスポーツマンシップ」を実践した人として評価した。良いスポーツマンシップとは、起こったことを受け入れ、対立した相手に対しても礼儀正しい態度を示すことを意味する。研究チームは、実験参加者に毎日彼らが経験した中で最も否定的な出来事を一つ記録させ、その出来事の深刻さを点数で評価させた。
◆ スポーツマンシップがないほど、気分が落ち込む

実験結果、スポーツマンシップがない人ほど、1日の仕事に対する満足度が低く、長期的に気分が落ち込む傾向が見られた。悪い出来事を経験した当日はもちろん、翌日まで同様の気分が持続した。一方、スポーツマンシップがあると分類された実験参加者は、その日の出来事に大きく影響されることはなかった。
◆ 愚痴や不満は、マイナスの気分をいつまでも引きずらせる
研究チームは実験結果を次のように分析した。まず、悪い考えを繰り返し続けてしまうと、その出来事とより強く結びつくため、本来短期的で終わるはずの否定的感情が長期化するという点だ。もう一つのポイントは、不満をぶちまける過程で対立した相手との間に大きな溝が生まれるなど、状況がさらに悪化するという点である。
◆ 鬱憤や不満をぶつけるのは逆効果

嫌な出来事を一人で抱え込む必要はない。しかし、問題を解決するためには、率直に話し合うことを優先すべきだ。特に、意味もなく爆発させる鬱憤や不満は逆効果を招く可能性があるため、注意する必要がある。より建設的な方法で自分の感情を表現するスポーツマンシップを発揮することで、心の健康を守るためにも効果的だ。