
私たちの体内にある腎臓は、血液中の老廃物や余分な水分をろ過し、必要な成分は体内に保持するという非常に精密な機能を担っている。しかし、この腎臓に損傷が生じると、血液中のタンパク質が尿に漏れ出る「タンパク尿」という現象が起こる。
タンパク尿は腎機能障害のサインであると同時に、全身性疾患が腎臓に影響を及ぼしている可能性を示す症状でもあるため、注意が必要だ。
特に高血圧や糖尿病を患っている人の場合、病歴が長くなるほど腎臓に合併症が進行するリスクが高まるため、定期的な尿検査でタンパク尿の有無を確認することが重要である。
タンパク尿は多くの場合、健康診断で偶然発見される。患者が自覚できる症状としては、△排尿後10分以上経っても尿の泡が消えず残っている、△朝起きたときに顔やまぶたにむくみが見られる、もしくは午後になると足首が腫れるといった症状が挙げられる。ただし、これらの症状だけでタンパク尿と判断することはできないため、正確な検査による診断が不可欠である。
正確な診断には尿中タンパク質・クレアチニン比(UPCR)や24時間蓄尿によるタンパク質定量検査などが必要だ。
タンパク尿は、1日に排出される全尿中のタンパク質量が150mg以上の場合に診断される。タンパク尿の有無を簡易的に確認する方法としては、尿試験紙を用いる「ディップスティック法(Dipstick method)」があるが、偽陽性が出やすく、精度はそれほど高くないとされている。
そのため、より正確な診断には、△尿中タンパク質・クレアチニン比(UPCR)△24時間蓄尿によるタンパク質定量検査が必要になる。
タンパク尿は慢性腎臓病の重要な兆候であると同時に、心血管疾患の予後を示す重要な指標でもあるため、早期発見と適切な管理が極めて重要だ。
特に高血圧や糖尿病といった慢性疾患を抱える患者では、病歴が長くなるほどタンパク尿のリスクも高まる。そのため、血圧や血糖の適切なコントロールとともに、定期的な検査を受けることが勧められる。また、予防と管理のためには、以下のような生活習慣の見直しもあわせて行う必要がある。
まず重要なのは、血圧と血糖値を適切なレベルで管理することであり、減塩食の併用も効果的とされる。すでにタンパク尿が認められている場合は、タンパク質の過剰摂取を控えることが望ましい。また、適正体重の維持、十分な水分補給、そして定期的な有酸素運動も腎機能の保護に役立つ。あわせて、禁煙と過度の飲酒を避けることも強く推奨されている。
韓国の高麗(コリョ)大学九老(クロ)病院腎臓内科のアン・シニョン教授は「タンパク尿は腎臓の損傷を示す重要なサインであるだけでなく、糖尿病や高血圧などの慢性疾患が進行していることを示す重大な信号であり、さらに心血管疾患の予後を左右する要因でもある。たとえ自覚症状のないタンパク尿であっても、適切な食事管理と生活習慣の改善、薬物治療を併用することで、病気の進行を抑え、予後を改善することが可能だ」と述べた。
アン教授はまた、「タンパク尿が疑われる場合、軽く考えて放置せず、積極的に検査を受けて対応する姿勢が大切だ」と強調した。