暑くて湿気の多い夏は細菌が急速に繁殖しやすいため、キッチン用品の管理が何よりも重要になってくる。
食材を切ったり下処理したりする際に使用するまな板は、キッチンにおける主要な感染経路となりうる。特に肉や魚、野菜などを同じまな板で処理すると、交差汚染のリスクが高まり、食中毒を引き起こす可能性がある。
食中毒予防は「調理時の衛生管理」から
まな板は最も頻繁に使用する調理器具の一つだが、衛生管理がおろそかになりがちだ。食材に応じてまな板を使い分け、こまめに消毒し、表面の状態を定期的にチェックする小さな習慣が、夏場の食中毒予防の第一歩となる。キッチンでの健康は「まな板の衛生」にかかっているという事実を意識する必要がある。

まな板の衛生管理がカギ
食中毒の主な原因菌であるサルモネラ菌、病原性大腸菌、腸炎ビブリオ菌は、まな板の上で目に見えないまま広がる。特に肉や魚を切った後、十分に洗浄していない状態のまな板で野菜や果物を切ると、そのまま生の食材に細菌が付着し、感染リスクが高まってしまう。
細菌の付着を予防するには、肉・魚用と野菜・果物用のまな板を必ず区別して使用することが重要。まな板と包丁を色分けし、調理の際は、食材を扱う順序に気を使う習慣をつけるべきだ。
使用後は熱湯と洗剤で徹底洗浄
まな板を使用した後は、すぐに洗剤を使ってブラシでこすり洗いし、週に1〜2回は消毒することが望ましい。最も簡単なのは、70度以上の熱湯をかけて表面を殺菌するか、酢や塩素系漂白剤を薄めたものでまな板を拭き、日光に当てて乾燥させる方法だ。電子レンジ使用が可能なシリコン製まな板の場合は、1分程度加熱するだけで殺菌効果が得られる。
また、水分を含んだまま保管したまな板は細菌やカビが繁殖しやすいため、必ず水気を拭き取り、涼しく風通しの良い場所で乾燥させる必要がある。シンク下など湿気の多い場所は避けるべきだ。

こんなまな板はすぐ廃棄を
まな板の表面に深い包丁の跡が複数あり、その中に食品の色素が染み込んでいたり、洗っても落ちない場合は、すでに細菌が侵入している可能性が高い。このような状態のまな板は、洗浄や消毒だけでは安全性を確保できない。変色やべたつき、カビ臭、表面のはがれなどが見られる場合は、直ちに廃棄し新しいものに交換すべきだ。
まな板の適切な交換頻度は、素材によって異なる。プラスチック製のまな板は比較的洗浄しやすいが、包丁の跡がつきやすいため、6ヶ月〜1年ごとに交換することが望ましい。木製のまな板は乾燥しにくくカビが繁殖しやすいため、より細やかな管理が求められる。