有酸素運動を継続して行っている高齢者の脳血管は、若年者に匹敵するほど健康であることが明らかになった。一方、運動をほとんど行わない高齢者の脳血管は曲がりくねっており、脳卒中などのリスクが高い状態にあるという。
脳血管は脳に酸素や栄養を供給する血液の通路であり、これにより脳細胞が正常に機能し続けるのである。脳は体重のわずか2%に過ぎないが、心臓から送り出される血液の約15~20%を消費しており、脳血管が詰まったり破裂したりすると脳卒中(脳梗塞や脳出血)が発生する可能性がある。

代表的な脳血管疾患には脳卒中や脳動脈瘤があり、高血圧や糖尿病、喫煙などのリスク因子を管理するとともに、節酒、減塩、脂肪摂取の調整、さらに定期的な運動など、健康的な生活習慣を維持することが脳血管の健康にとって非常に重要である。
最近の研究により、有酸素運動を継続している高齢者の脳血管は若者と同様に健康であるのに対し、運動を行わない高齢者の脳血管は曲がりくねり、危険な状態にあることが示された。
米ノースカロライナ大学の研究チームは、60~80歳の高齢者14名(男性7名、女性7名)を対象に、過去10年間で週180分以上の有酸素運動を行ったグループと、週90分以下しか運動していないグループに分け、脳血管を比較した。
その結果、有酸素運動を継続して行っている被験者は、運動を控えている被験者に比べて脳血管のねじれが少なく、若年成人の脳血管に近い状態であることが確認された。
加齢に伴い脳血管は自然に狭くなり、長く伸びることで曲がりくねる傾向があるが、運動を行っている高齢者の脳血管は、運動を行わない高齢者よりも若々しい状態を維持していることが本研究で明らかになった。
本研究結果は、『米国神経放射線学会誌(American Journal of Neuroradiology)』に掲載されている。
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