
専門家によると、過度の飲酒による記憶の喪失、いわゆる「ブラックアウト」が頻繁に起きる場合、アルコール性認知症の前兆である可能性があるという。
保健福祉部指定アルコール疾患専門医療機関・精神健康医学科のハ院長は25日、「アルコール性認知症の代表的な症状はブラックアウトと短期記憶障害である。半年の間に2回以上ブラックアウトを経験した場合、すでに脳の損傷が進行していると考えられる」と述べた。
アルコールは脳細胞を破壊し、特に記憶を司る海馬に深刻な損傷を与える。初期には軽い物忘れや一部の記憶喪失(グレーアウト)にとどまることもあるが、症状が繰り返されれば年齢に関係なくアルコール性認知症に進行する恐れがある。
アルコールは短期的に記憶や判断力を鈍らせ、神経炎症を引き起こす。長期的には神経細胞の死滅や脳萎縮につながり、認知機能の低下や震え、歩行障害、眼球運動障害といった神経学的症状を誘発する。
アルコール性認知症は高齢者だけの病気と思われがちだが、比較的若い世代でも発症例が報告されている。疾病管理庁の資料によれば、2021年時点で65歳未満で発症する若年性認知症患者は全体の約8%を占めていた。
さらにアルコール性認知症は暴力的傾向を伴いやすいことも特徴とされる。飲酒問題が続くと、感情や衝動を制御する前頭葉が損傷し、衝動の抑制が難しくなり、暴力行為につながる場合がある。老人性認知症に比べ暴力性が強まるのも、前頭葉の損傷が大きな要因だという。
ハ院長は「アルコール性認知症は記憶力の低下にとどまらず、無気力感やうつ、過敏性といった情緒的変化を伴う。アルツハイマー型認知症や血管性認知症と異なり、アルコール性認知症は早期の治療と断酒によって回復の可能性があるため、治療を先延ばしせず迅速に始めることが脳の健康を守る最善の道だ」と強調した。
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