
「眠りは最高の薬」と言われるように、睡眠は単なる休息ではなく、健康維持に欠かせない要素だ。十分な睡眠は生活の質を高めるだけでなく、メンタルヘルスにも大きく影響する。
専門家の間では、睡眠が健康全般に大きな影響を及ぼすことに異論はほとんどない。十分な睡眠が取れないと、仕事の効率や免疫力、食習慣にまで影響が及ぶ。特に睡眠中は、脳が老廃物や有害なタンパク質を除去しており、この働きはアルツハイマー病とも密接に関係している。
20年にわたり不眠症を研究してきた韓国・サムスンソウル病院神経内科のチュ・ウンヨン教授は、近年、現代人の間で睡眠障害が増えている背景として、スマートフォンの普及と新型コロナウイルス感染症の流行を挙げた。
チュ教授は「睡眠時間が5時間未満だと、認知症のリスクが3倍に高まる」としたうえで、「午後11時に寝て午前6時に起きる生活パターンが最も望ましい」と述べた。
また、睡眠不足は肥満の一因にもなると指摘した。食欲を促すホルモンのグレリンが過剰に分泌されることで、あまり食べていないつもりでも太りやすくなるという。さらに、食事の時間帯も乱れやすく、少量を規則的に食べることが大切なのに、一度に、特に夜間にまとめて多く食べてしまいがちだ。そのうえ睡眠時間も短くなる。こうした生活習慣が体重増加につながると警告した。
さらに、若い頃の睡眠不足は、後に冠動脈疾患や脳卒中につながる可能性があるとも説明した。チュ教授は「こうした病気は、20~40代をどう過ごしたかがそのまま表れる成績表のようなものだ」としたうえで、「結局は後になって代償を払うことになる」と警鐘を鳴らした。
睡眠不足はメンタルヘルスにも悪影響 改善するには
睡眠不足はメンタルヘルスを悪化させる要因の一つであり、燃え尽き症候群とも密接に関係している。
燃え尽き症候群とは、一つのことに打ち込んできた人が極度の疲労感を覚え、無気力な状態に陥る現象を指す。この症状が現れると、強い疲労感に襲われ、普段なら無理なくこなせていたことまで先延ばしにするようになる。記憶力や集中力が低下してミスが増え、次第に冷笑的な態度を取るようになることもある。
世界保健機関(WHO)が推奨する成人の睡眠時間は7~9時間とされる。十分な睡眠時間を確保しているにも関わらず疲労感が残る場合は、睡眠の質が低下している可能性がある。
睡眠の質を高めるには、就寝の4~5時間前からカフェインやアルコールの摂取を控えるのが望ましい。また、日中にジョギングやウオーキングなどの軽い有酸素運動を取り入れると、体力の維持に役立ち、寝つきも良くなりやすい。運動は就寝の3時間前までに済ませるのが望ましい。
半身浴や足のマッサージも、不眠の緩和に役立つ。血行が促されるだけでなく、筋肉の緊張がほぐれてリラックスしやすくなり、睡眠の質の向上も期待できる。














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