冬の寒さで体が震えるだけでも、エネルギー消費の増大につながる可能性があるという研究結果が注目を集めている。
報道によると、気温が低下すると体温を維持するためにエネルギー消費量が増し、その過程で脂肪の燃焼が促進されるため、消費カロリーが高まるという。なかでも、わずか15分間体が震えるだけで、中強度の運動を1時間行った場合とほぼ同等の代謝効果が得られるという研究結果が、改めて話題となっている。

人体には大きく分けて2種類の脂肪が存在する。一般に悪い脂肪と呼ばれる白色脂肪は、エネルギーの過剰摂取により蓄積され、肥満の原因となるだけでなく、2型糖尿病や心疾患のリスクを高める要因となる。一方、褐色脂肪はエネルギーを消費して熱を生み出し、体温を維持する働きを持つ良い脂肪とされ、代謝においても重要な役割を果たしている。痩せ型の人は、過体重の人と比べて褐色脂肪を多く保有している傾向があるとの研究報告も存在する。
科学者らは、白色脂肪を褐色脂肪へ変換する方法を研究し続けており、その中でも最も有効な手段の一つとして、低温への曝露が挙げられている。
2012年の研究では、成人の褐色脂肪組織が寒冷環境下で非常に活発に働き、代謝量を高めることが示された。なかでも、寒さによる震え(シバリング)そのものが褐色脂肪を刺激し、熱を生み出しながらカロリー消費を促進する重要な要因とされている。
2014年に学術誌『Cell Metabolism』に掲載された研究によると、シバリングは脂肪燃焼を促すホルモンの一種であるイリシンの分泌を高め、15分間寒さで震える状態が、生理学的には中強度運動を1時間行った場合とほぼ同じ効果をもたらすことが確認された。
こうした背景から、数分間にわたり極端な低温環境に体をさらすクライオセラピー(極低温療法)にも関心が集まっている。この療法については、コレステロール値や血糖値の低下、ウエスト周囲径の減少に寄与する可能性を示した研究も報告されている。また、氷嚢を詰めた専用ベストを着用して体を冷却しながらカロリーを消費する方法も紹介されており、最大で1時間あたり約250キロカロリーを消費できるとされている。

2017年の別の研究では、摂氏50度近い高温環境下での活動よりも、摂氏15度から23度の涼しい条件下でハイキングを行ったグループのほうが、約34パーセント多くのカロリーを消費したとの結果も報告された。
ただし研究チームは、消費カロリーの増加には路面状況などの外的要因も関係している可能性があると説明している。また、運動を開始すると筋肉の発熱により体温が上昇し、十分なウォーミングアップが行われた後は、寒さによる震えは自然に収まるとも指摘している。
専門家らは、冬の寒さがエネルギー消費を促す効果を持つことは事実と認めながらも、過度な低温曝露は健康リスクを伴う恐れがあるとして注意を呼びかけている。個人の体質や健康状態によって反応は異なるため、こうした方法を試す際には、事前に医師など専門家への相談が必要であるとの認識を示している。















コメント0