
ファストフードや加工食品、カフェイン飲料といった刺激の強い食べ物が、若い世代の日常に深く入り込んでいる。とりわけ辛味や塩分の強い食習慣は、胃粘膜を継続的に刺激し、慢性的な炎症を引き起こす可能性があると専門家は指摘する。
関連する調査によると、20代から30代を中心とした若年層で、胃炎や十二指腸炎と診断されるケースがこの数年で増加傾向にある。専門家は、生活習慣の変化と外食・加工食品への依存が背景にあるとみている。
慢性胃炎は、長期間放置されると胃粘膜の損傷が進み、胃がんへと移行するリスクが高まる。そのため、若年層であっても自覚症状がないからといって安心せず、定期的な胃内視鏡検査による早期発見が重要だとされる。
胃がんは、東アジア地域で発生頻度の高いがんの一つで、発症には複数の要因が関与する。遺伝的要素に加え、食習慣や感染症などの環境要因が複合的に作用すると考えられている。
中でも、ヘリコバクター・ピロリ菌は胃粘膜に生息する細菌で、人から人へ感染することが知られている。感染が持続すると胃粘膜に慢性的な炎症が生じ、萎縮性胃炎や腸上皮化生を経て、胃がんの発生リスクが高まる。さらに、塩漬け食品や加工肉に含まれる硝酸塩やニトロサミン類、塩分や辛味の強い食習慣は、これらの変化を悪化させ、胃粘膜の損傷を加速させる要因になるとされる。
早期の胃がんは、ほとんどの場合で明確な症状が現れない。症状があっても、胸やけや膨満感といった一般的な消化器症状と区別しにくいのが特徴だ。みぞおちの痛みや消化不良、体重減少などが続く場合には、速やかな検査が勧められる。
一般的な健康診断では、一定年齢以上を対象に定期的な胃内視鏡検査が推奨されているが、家族歴がある場合やピロリ菌感染が確認されている場合には、より短い間隔での検査が望ましいと専門家は話す。
消化器内科の専門医は、症状が出る前に行う内視鏡検査こそが、生存率を高める最も確実な手段だと強調する。胃がんの確定診断は、内視鏡による観察と組織検査を組み合わせて行われる。
内視鏡で胃粘膜を直接確認し、疑わしい部位を組織検査で調べたうえで、病理結果からがんの種類や進行度を判断する。その後、CTや超音波検査、PET-CTなどを用いて、がんの広がりやリンパ節への浸潤の有無を評価する。早期胃がんは病変が非常に小さく、粘膜表面のわずかな変化として現れることが多いため、熟練した内視鏡技術が求められる。
胃がんと診断された場合、病期や患者の状態に応じて、内視鏡的切除、手術、薬物療法などが選択される。がんが粘膜内にとどまる早期段階であれば、胃を切除せずに内視鏡的粘膜下層剥離術による根治が期待できる。
内視鏡的切除は、がんのある部分のみを精密に取り除く治療法で、胃の機能を温存できる点が大きな利点だ。手術に比べて身体的負担が少なく、回復も早いため、生活の質を保ちやすい。適切な条件下で行われた場合、5年生存率は非常に高く、外科手術と同等の成績が報告されている。
ただし、治療後の経過観察が欠かせない。切除部位の再発だけでなく、胃の別の部位に新たながんが生じる可能性もあるためだ。専門家は、治療後数年間は定期的な内視鏡検査と画像検査を行い、長期的なフォローアップを続けることが重要だと指摘する。
あわせて、胃粘膜の状態やピロリ菌感染の有無を定期的に確認し、食生活の見直しを行うことも欠かせない。塩分や辛味の強い食品、漬物、燻製肉を控え、野菜や果物を十分に摂取することが基本となる。喫煙や過度な飲酒は胃粘膜を傷つけ、再発リスクを高めるため、避ける必要がある。













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