
「NHK」は9日、政府が出国税を3倍に引き上げる方針を進めていると報じた。
政府と自民党は現在1人当たり1,000円である国際観光旅客税(出国税)を3,000円に3倍引き上げる方針を2026年度税制改正案に反映させるための調整に入った。
引き上げの名目は急増する外国人観光客によるオーバーツーリズム(観光公害)問題に対応するための財源確保だ。
2024年度の出国税収入は集計以来最高の525億円だったが、税金を3倍に引き上げれば単純計算で年間1,500億円が徴収されることになる。
政府はこの資金を交通混雑緩和や観光地のゴミ処理施設の拡充、地域インフラの改善などに投入する計画だ。
問題はこの出国税が日本を訪れる外国人だけでなく、海外旅行に出かける日本人にも同様に適用される点だ。円安と高騰した航空券価格で既に海外旅行の負担が増している状況で、税金の引き上げは日本人の海外旅行意欲をさらに低下させる可能性があるとの指摘が出ている。
これに対し日本政府は自国民の不満を和らげるための対策も合わせて提示した。増加した税収の一部を活用してパスポートの発行及び更新手数料を引き下げる方針が有力に検討されているという。
現在10年有効のパスポート発行費用は1万5,900円程度だが、これを最大1万円ほど引き下げれば国民の実質的な負担をある程度相殺できるという計算だ。
当初自民党内ではビジネスクラスやファーストクラスの乗客に5,000円の税金を課す「差別課税」案も提起されていた。しかし座席のグレードによって税金を異なる額にすると航空会社が料金システムを改編しなければならないなど現場の行政的負担が大きすぎるとの指摘があった。
結果として政府と与党は複雑な差別課税の代わりに全ての出国者に一律3,000円を課す案を中心に議論を進めている。













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