高性能「ヘイローモデル」独自開発
電気自動車でラリーDNA復活を目指す
「インプレッサへのファンの心を取り戻す」

かつて「インプレッサ」のような高性能ラリースポーツカーで世界中の自動車ファンとモータースポーツ愛好家を魅了したスバルが、その栄光を取り戻すための野心的な計画を発表した。スバルは2028年までに英国市場へ投入予定の7種類の新型電気自動車(EV)の一つとして、高性能「ヘイローモデル(Halo Model)」を開発中であり、過去の情熱的なブランドイメージをEVで再現する方針を示した。
かつてスバルの代名詞だった「ファンドライビング」と「スポーティなダイナミクス」は、米国やオーストラリア市場でSUVやステーションワゴンに注力する中で次第に薄れていった。しかし今、スバルはEV技術こそが往年のドライビング体験を再現する鍵になると判断し、伝統的なファン層の奪還に乗り出している。

今回の高性能モデルは、スバルが独自開発する点に大きな意味がある。スバルの新型EVの多くはトヨタとの共同開発によるものだが、このモデルに関しては自社の技術力とDNAを全面的に注ぎ込む戦略を取っている。スバル欧州責任者デビッド・デロ・ストリット氏は「EVは我々が夢見てきたことを再び可能にしている」と語り、「過去の情熱を呼び覚ます製品の重要性を改めて認識している」と述べた。
ただし課題も残る。スバル内部関係者は、かつてのインプレッサ人気が独特のエンジン音や感性的要素に支えられていた点を指摘し、EV時代にこれをいかに再現するかが鍵になると語る。現在のスバルユーザー層は信頼性と耐久性を重視する傾向が強く、「ファンドライビング」を軸としたEVへと移行させるのは容易ではない。このためスバルは、内燃機関モデルの需要が続く限り販売を継続する方針も明確にしている。

スバルはすでにトヨタと共同開発した「ソルテラ」と「bZ4X」の間に146項目もの差別化要素を設け、「スバルらしさ」を追求してきた。新型EVでもその独自性を鮮明に打ち出し、独自開発による高性能モデルを通じて新たな原動力を確保しようとする姿勢が、ファンの期待を高めている。
今回の高性能EVモデルは「インプレッサ」の直接的な復活ではないものの、スバルの象徴だったラリーDNAをEV時代に合わせて再構築する重要な一歩となる。ブランドの転換点を担うこのモデルが、再びスバルの名をモータースポーツの舞台に刻むことができるのか注目される。
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