
自動車のブレーキは安全性に直結する重要な装備だが、日常の誤った運転習慣によって寿命が縮むことがある。ブレーキパッドの平均寿命はおよそ6万4,000kmとされるが、走行環境や運転方法によって大きく変動する。以下の5つの習慣はブレーキの寿命を短くする可能性があるため、注意が必要だ。
1. エンジンブレーキを使わない
下り坂でフットブレーキだけを多用すると、パッドに過剰な負担がかかる。マニュアル車では自然にエンジンブレーキを活用できるが、オートマチック車でも低速走行モードやエンジンブレーキ機能を利用できる場合がある。例えば、「B」モードを搭載した車両では、下り坂や減速時にエンジンブレーキを効果的に使うことができる。

2. ブレーキのポンピング
ブレーキを繰り返し踏む「ポンピング」は、現代の車では不要だ。ほとんどの車にはABS(アンチロック・ブレーキ・システム)が標準装備されており、運転者がポンピングをしなくても最適な制動力を自動的に発揮する。むしろ、急激かつ頻繁なブレーキ操作は、一部の車でトラクションコントロール警告を作動させる場合がある。
3. 急ブレーキ
急ブレーキは事故のリスクを高めるだけでなく、ブレーキパッドやディスクへの負荷も大きい。前方車両との十分な車間距離を保ち、「3秒ルール」などに基づく余裕を持った運転を心がけることで、急ブレーキを避け、ブレーキ寿命を延ばすことができる。

4. 不要な荷物の積載
不要な荷物を長時間車内に積んでおくと、制動力と燃費の両方に悪影響を及ぼす。研究によると、約45kgの追加荷物で燃費が約2%悪化するという。重量物の積載はブレーキの使用頻度を増やし、パッドの摩耗を早める要因となる。
5. ブレーキの慣らし運転を省略
ブレーキ交換後には「慣らし運転(ベッディング)」が必要だ。中程度から強めの制動を数回繰り返すことで、ブレーキパッドの素材をディスク面に均一に転写させる。この工程を省くと、初期摩耗が不均一になりやすい。整備の際は専門技術者にベッディング作業の実施を確認し、ブレーキ液の交換やディスクの状態点検も同時に行うのが望ましい。













コメント0