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「もう観光客は来ないで」欧州発の悲鳴が日本にも…全国で広がる宿泊税導入の波

梶原圭介 アクセス  

昨年、世界の観光客数がコロナ禍前の2019年の99%水準まで回復する中、オーバーツーリズム(過剰観光)問題が表面化し始めた。コロナ禍で急減していた旅行需要が爆発的に増加したためだ。今年の観光客数は昨年をさらに上回る見通しであり、観光客の分散対策が急務だとの指摘が出ている。

国連世界観光機関(UN Tourism)によると、昨年の世界の海外旅行者数は約14億人に達した。最も訪問者が多かった地域は全体の約半数にあたる7億4,700万人が訪れた欧州だ。ロシア・ウクライナ戦争の影響で関連地域への渡航が困難な状況にもかかわらず、首位を維持した。

世界の観光客数は2009年以降、コロナ禍直前の2019年まで10年連続で増加傾向にあり、平均増加率は5%だった。コロナ禍の影響で旅行者数が約90%急減したものの、国際線の運航再開が始まった2022年から観光客数は急速な回復を見せた。抑制されていた旅行需要が一気に解放され、2年でコロナ禍前の99%水準まで回復した。主要観光地に人が殺到し、現地住民の不満が高まった。

オーバーツーリズムに疲弊した地域住民による観光客反対デモなども相次いだ。昨年9,800万人が訪れたスペインでは住民が観光客に水鉄砲を撃ち「帰れ」と叫ぶ一幕もあり、カナリア諸島では「観光中止」を訴える大規模なデモも発生した。

こうした状況により、各国はオーバーツーリズム対策として観光税の導入に乗り出した。ベネチアは日帰り観光客に課す入場料を昨年の5ユーロ(約796円)から今年は10ユーロ(約1,590円)に引き上げる。徴収期間も昨年の29日間から今年は54日間とほぼ倍増させる。

オランダの首都アムステルダムは昨年4月、新規ホテル建設の凍結を発表した。過剰観光対策として、観光客の年間ホテル宿泊数を2,000万泊以下に抑える方針も示した。

昨年3億1,600万人が訪れ、欧州に次ぐ人気を誇るアジア太平洋地域でもオーバーツーリズム問題が浮上した。最も顕著な例が日本だ。日本政府観光局(JNTO)によると、昨年の訪日外国人数は3,687万人で、前年比47.1%増。2019年の3,188万人と比べても約500万人増加した。旅行需要が高まった昨年12月には、単月で過去最高の340万人を記録した。

急増する観光客に驚いた日本の自治体は宿泊税の導入を進めている。現地報道によると、ホテルや旅館の宿泊客に宿泊税を課す自治体が急増している。2023年に9自治体だった導入数は昨年北海道ニセコ町や愛知県常滑市などが加わり、今年は14都道府県市町村に拡大する見込みだ。

各国のこうしたオーバーツーリズム対策にもかかわらず、観光客の分散は難しいとの見方が強い。観光客数が年々増加する中、観光税の導入を理由に旅行先や日程を変更する可能性は極めて低いとの分析だ。

業界関係者は「旅行の計画段階で考慮すべき点は為替レートや現地での出費など多岐にわたるが、それらは事前に想定して準備する」とし、「宿泊税や入場料などの追加負担で旅行先を変更する観光客は少ないだろう」と語った。

UN Tourismによると、アジア太平洋地域の持続的回復と他地域の堅調な成長を前提に、2025年の世界の観光客数は前年比3~5%増加すると予測される。今年は25年に一度開催されるカトリック最大の祭典である聖年にあたり、ローマは年間を通じて世界中のカトリック信者や観光客で混雑が予想される。観光スポットの待ち時間も通常の2~3倍以上に膨らむ可能性が高い。

オーバーツーリズムを解消するには該当観光地のピークシーズンを避けることや有名観光地近郊の小都市開発など、観光税導入を超えた積極的な対応が必要だとの指摘も出ている。

UN Tourismは「2025年には成長と持続可能性のバランスが重要になる」とし、「知名度の低い目的地の発掘」を提言している。

ある旅行分析専門家は「オーバーツーリズムを避けて穴場の旅行先を探す需要も増えており、新たな観光地の開発やアクセス改善などを通じた観光客の分散も一つの方策になり得る」と話した。

梶原圭介
editor@kangnamtimes.com

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