財務相「消費税は社会保障を支える重要な財源」

日本政府と与党自民党は、物価高騰や米国の関税などに対する経済対策として消費税減税を行わない方針を固めたと、9日付の読売新聞が報じた。
同紙は複数の政府高官や自民党幹部の話として報道した。今夏の参院選を前に、超党派で食料品などの消費税減税を求める声が上がったが、適切ではないと判断された。
関係者によると、自民党総裁の石破茂首相は8日夜、森山裕自民党幹事長と会談し、消費税減税を見送るべきだとの認識で一致した。
消費税は年金や医療など社会保障の財源として使用するものと消費税法で規定されている。減税を行えば、数兆円から10数兆円の規模で財源不足が生じる可能性がある。高齢社会で重要性が増している社会保障の基盤が揺らぐ恐れがあると同紙は指摘した。
仮に赤字国債で不足分を補填すれば、将来世代の負担増につながる。
石破首相もこれまで消費税について「社会保障を支える重要な財源」と強調してきた。
加藤勝信財務相も9日、消費税率引き下げについて「社会保障制度を支える重要な財源として位置づけられている」と否定的な見解を示した。
消費税率引き下げは高所得者により多くの恩恵が及ぶうえ、実際に実現するまでに時間がかかるため、足元の物価高に苦しむ低所得者対策としては適切ではないとの指摘も出ている。
第一野党の立憲民主党は、食料品に対する「消費税率ゼロ」政策を参院選公約に盛り込む方針だ。日本維新の会、国民民主党も消費税率引き下げを求めている。