トランプ関税で米小規模輸入業者
従業員解雇など経営悪化が現実に
WSJ「小企業、利益率低く資金不足」
商工会議所「小企業への関税免除」を要求

トランプ政権が中国製品に総額145%の関税を課したことで、中国に製品・原材料の供給元を持つ米国内の小企業の苦境が現実のものとなっている。
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は11日(現地時間)、米中関税戦争により中国に取引先を持つ小企業の困難が増大し、一部の企業が生き残りをかけて従業員を削減するなど直接的な打撃を受けていると報じた。
ニューハンプシャー州の小企業「5 Star North」は、今年初めまで12人いた従業員を最近5人にまで削減した。同社はサインペンから屋外照明用品まで、様々な消費者製品を中国の製造業者と協力して生産してきた。
5 Star Northの社長、スコット・アンダーソン氏は「この時点で私にできる唯一の選択肢は、残りの資産をすべて売却して店を閉めることだ」と述べ、「権力者たちは小企業に関心がないようだ」と語った。
中国製の資材に依存する米国内の中小製造業者も苦境に立たされている。コロラド州のスカイビューテント(Sky View Tents)は、テントの生産量を半減させ、テント製作の従業員5人のうち1人を最近解雇した。
WSJは、小企業は一般的に利益率が低く、手元資金が不足している上、生産拠点の移転が容易でないため、貿易戦争の影響をより受けやすい状況にあると指摘した。
電子商取引プラットフォームのピエトラ(Pietra)の共同創業者、ロナック・トリベディ氏は、ここ1か月で関税課税に伴う小企業の廃業が急増したとし、「最悪の事態はまだ来ていない。大規模な解雇と廃業が見られるだろう」と懸念を示した。
米国の経済界はすでにトランプ政権にこうした懸念を表明している。先に米国経済界を代表する米国商工会議所は、小規模輸入業者に適用される関税の免除をトランプ政権に今月初めに要請していた。
米商工会議所は、小企業には関税引き上げに耐える資金的余裕がないとして、「和解の成立に数週間あるいは数か月かかるとしても、多くの小企業が回復不能な被害を受けることを深く懸念している」と述べた。