
中国の習近平国家主席は13日、ブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルヴァ大統領と会談し、両国は一方主義と保護主義、威圧的行為に共に反対することを表明した。対米関税戦争の「休戦」にもかかわらず、米国を牽制するメッセージを繰り返し発信する形となった。
新華社通信などは、習主席が第4回中国・中南米カリブ海諸国共同体(CELAC)フォーラム外相会議出席のため訪中したルーラ大統領と北京で会談したと報じた。両国が一方主義と保護主義、威圧的行為に明確に反対すべきだと述べた。「一方主義」や「威圧」という表現は米国を念頭に置いたものだ。
習主席は「国連やBRICS、中国・中南米フォーラムなどの多国間枠組みでの調整と協力を強化し、多国間主義を共に堅持しながら、グローバルガバナンスを改善して国際経済貿易秩序を守るべきだ」と強調した。
これに対しルーラ大統領も「現状では多国間主義を断固として守ることが極めて重要だ。保護主義と過度な関税賦課は発展と繁栄をもたらさず、混乱を招くだけだ」と述べ、「ブラジルは中国と国際問題で戦略的協力を強化し、グローバルサウスの共通利益を共に守り、国際的な公平と正義を擁護したい」と表明した。
両国首脳は会談後の共同声明でも「両国は関税戦争と貿易戦争に勝者はないと考え、保護主義が現在の課題への解決策にはならないと考える」と一致した。
先に習主席はこの日のCELACフォーラム外相会議の開幕式の演説でも「威圧と覇権主義は自らを孤立させる」と米国を念頭に置いて発言。「関税戦争と貿易戦争に勝者はない」とし、「団結と協力を通じてのみ、世界的な発展と繁栄が実現できる」と強調した。
習主席はこの日の演説でパナマ運河に関する発言も行い、注目を集めた。1964年に中国全土で起きたパナマ支持の大衆デモに言及したのだ。習主席は「(当時)中国各地で大規模な大衆デモが展開され、(米国からの)パナマ国民の運河主権回復を支持した」と述べた。当時、毛沢東主席は米帝国主義に反対し、パナマ支持の意思を表明。その後、中国各地で100万人規模の反米デモが行われた。
パナマ運河は現在、港湾運営権を巡って米中が対立する場所でもある。米国の圧力の中、香港企業のCKハチソン・ホールディングスが港湾運営権の売却を試みたが、中国当局の独占禁止法調査を受けている。
フィナンシャル・タイムズ(FT)はこの日、「習主席が中南米の指導者たちと会談したことは、世界的影響力の面で米国に挑戦するという中国の決意を示す信号だ」とし、「和解してからわずか1日後の出来事だ」と伝えた。