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「毎秒5,000兆回の演算」中国、世界初の宇宙スーパーコンピュータ衛星を打ち上げ

荒巻俊 アクセス  

初の衛星コンステレーション12機打ち上げ…毎秒5,000兆回の演算

総数2,800機で毎秒100京回の演算能力目標

引用:zhejiang lab
引用:zhejiang lab

中国が世界初となる衛星コンステレーションを利用した宇宙スーパーコンピュータの構築に乗り出した。

中国のインテリジェント・コンピューター研究開発機関である浙江ラボは、14日に酒泉衛星発射センターから宇宙コンピュータネットワーク構築のための最初の衛星12機を長征2D(チャンチェン2D)ロケットに搭載して打ち上げた。衛星は中国成都に本社を置く「ADA Space」が開発した。

浙江ラボが主導するこのプロジェクトの正式名称は「三体コンピューティングコンステレーション(Three-Body Computing Constellation)」である。地上ではなく宇宙で直接データを処理できるコンピュータシステムの構築を目指している。

12機の衛星はそれぞれ毎秒744兆回の演算が可能で、衛星同士は毎秒100ギガビットの速度で送信できるレーザー通信網で接続されている。また、各衛星には80億のパラメータを持つAIモデルが搭載されており、軌道上で直接データを処理することができる。これらを連結して完成する初期の宇宙コンピューターネットワークは、30テラバイトの記憶容量と毎秒5,000兆回の演算能力を備えることになる。 

今回初めて衛星コンステレーションを打ち上げた三体コンピューティングコンステレーションは、今後合計2,800機の衛星で構成される予定だ。最終的には宇宙に毎秒100京回の演算能力を持つエクサスケールスーパーコンピューターを構築することを目指している。これは2024年に世界最強のスーパーコンピュータと評価された米国ローレンスリバモア国立研究所のエル・カピタンの演算能力に匹敵するレベルだ。エル・キャピタンの演算能力は毎秒1.72エクサフロップス(172京回)だ。

中国が宇宙空間で動作するスーパーコンピュータを構築しようとしているのは、宇宙部門で発生するデータのボトルネックを解消するためだ。これは科学、軍事など様々な分野で展開している米国との戦略的競争において大きな役割を果たすと中国政府は期待している。これらの衛星には地球観測用のリモートセンシング機器も搭載されており、宇宙で直接生成したデータをリアルタイムで処理できる。

一方、米国と欧州は宇宙データ処理においてエッジコンピューティング方式をテストしている。エッジコンピューティングはデータを中央データセンターに送信せず、データ発生地点の近くにサーバーやネットワーク機器などを配置して迅速かつ効率的にデータを処理する方式だ。

引用:中国航天科技集団有限公司
引用:中国航天科技集団有限公司

エネルギー需要と炭素排出量も削減

宇宙コンピューターはエネルギーと環境の面でも利点を持っている。米国の天体物理学者ジョナサン・マクドウェル氏はサウス・チャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)に「宇宙データセンターは太陽光をエネルギー源として利用するだけでなく、コンピューターシステムから発生する熱を宇宙に放出できるため、エネルギー需要と炭素排出量を同時に削減できる」と語った。

 国際エネルギー機関(IEA)の試算によると、世界のデータセンターは2026年までに年間1,000テラワット時以上の電力を消費すると見込まれている。これは日本の総電力使用量と同程度のレベルである。データセンターで発生する熱を冷却するには膨大な量の水が必要だ。例えば、グーグルは2022年だけでデータセンターの冷却に197億リットルの水を使用した。

マクドウェルは「このような利点から、今後中国だけでなく米国や欧州も宇宙データセンターを設置することが予想される」と述べ、「今回の中国の衛星打ち上げは、このようなネットワークに向けた最初の試み」と評価した。

現在、宇宙で収集したデータは分析のために地球に送信する必要がある。しかし、地上の基地局が十分でなく、使用可能な周波数帯域幅が制限されているため、収集されたデータを全て受信できなかったり、データ送信がスムーズに行われなかったりするケースがしばしば発生する。宇宙コンピュータシステムは宇宙で直接データを処理することでこの問題を解決できる。

浙江ラボは今年50機以上のコンピューティング衛星を配置する計画だ。浙江ラボは2017年に浙江省当局と浙江大学、アリババグループが手を組んで設立した機関で、人工知能、インテリジェントコンピューティング、ビッグデータ分野を研究している。

荒巻俊
aramakis@kangnamtimesjp.com

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