
米国のトランプ政権2期目と共に始まった米中貿易戦争の余波が中国全土の労働者の賃金未払いにつながり、放火など過激な抗議行動が発生している。中国製品に対する米国の高関税で工場閉鎖が相次ぎ、解雇された労働者らが抗議を主導している。
24日(現地時間)、ラジオ・フリー・アジア(RFA)の報道によると、中国四川省屏山県の繊維工場で働いていた従業員の袁氏(27)が800元(約1万5,891円)の給与未払いに抗議して工場に放火した。火災は37時間続き、数千万元の被害を出し、オンライン上で労働者の権利をめぐる論争を巻き起こした。20日、袁容疑者は放火直前に未払い賃金をめぐり雇用主と激しく口論し、現場で逮捕された。
中国のネットユーザーは「病気の母親のために急遽金が必要だった袁容疑者には、放火という極端な手段以外に声を上げる術がなかった」と同情的な反応を示した。800元の未払いで放火に至った袁容疑者を「800元の男」と呼び、今後「800元の悲劇」を防ぐ対策が必要だと主張した。一方、屏山県の公安当局は袁容疑者の3月の給与が4,158元(約8万2,584円)で未払いはなかったとし、「母親の死による精神的ショックで犯行に及んだ」と反論した。
RFAは以前、中国広西チワン族自治区南寧市の建設労働者や江蘇省海門市の刺繍工場労働者らが中国各地で賃金未払いに抗議するデモを行っていると報じた。かつては主に農村部から都市部へ移住した出稼ぎ労働者が賃金未払いの被害を受けていたが、長引く景気低迷の影響で教師、医師、看護師なども給与が適切に支払われず不満が高まっている。山東省棗荘市の非常勤講師らは給与が6か月滞っており、甘粛省の公立病院の看護師は月給が1,300元(約2万5,825円)にもかかわらず、4か月間ボーナスが支給されていないと訴えた。