新造語「タコトレード」に関する質問を受け
「関税がなければ交渉もできなかった…くだらない質問だ」

ドナルド・トランプ米大統領が28日(現地時間)、自身の関税政策に対する「常に引き下がっている」との批判に、「それが交渉だ」と強く反論した。
この日、ホワイトハウスの執務室で記者団と会見したトランプ大統領は、「ウォール街では大統領がいつも関税をちらつかせながら最終的には引き下がることから、『タコ・トレード(TACO Trade)』という言葉まで登場している」との質問を受けた。
「TACO」とは、「Trump Always Chickens Out(トランプは常にビビって引き下がる)」の頭文字を取ったもので、ニューヨーク株式市場のトレーダーたちの間で、トランプ大統領の一貫性に欠ける関税政策を皮肉る新造語である。タコ・トレードは、トランプ氏が衝撃的な関税措置を発表しても、それを真に受けず、過度な株式売却に巻き込まれるなという意味を持つ。
「そんな言葉は初めて聞いた」と答えたトランプ氏は、説明を受けた後、「高関税を発表した途端、彼ら(相手国)は『いつでも会おう』と言ってきた。それがビビったというのか」と声を荒げた。また「わざと非常に高い関税を最初に打ち出して、交渉の過程で少しずつ引き下げるのが交渉というものだ」と語った。
最近発表した欧州連合(EU)に対する50%関税についても触れ、「私が関税を発表していなければ、彼らは交渉のテーブルにすら着かなかっただろう」とし、「悲しいことに、私が彼らと合理的な取引をしても、人々は『トランプがビビった』と言う。全く馬鹿げている」と強調した。さらに「ひどい質問だ」と不快感をあらわにした。
トランプ氏は今年4月、全世界を対象に相互関税政策を発表したが、懸念の声が高まると、90日間の猶予を設けた。中国に対しては145%の高関税を課したが、その後の交渉を経て、90日間は関税を30%に引き下げることに合意した。また、来月から課す予定だったEUへの50%関税も7月9日まで延期された。
トランプ大統領の一貫しない関税政策により、市場も徐々に無感覚になりつつある。
22Vリサーチのデニス・デブッシャー代表は「S&P500指数の1日の変動のうち、関税による影響は4月初旬には80%に達していたが、現在では3分の1の水準にまで低下している」とし、「これは市場に影響を与える要因の長期的な平均と同程度だ」と述べた。
セブンス・レポートのトム・エッセイ氏は投資家向けメモで「トランプ氏は、極端な関税措置を実行しないことを投資家に証明してきた」とし、「過激な関税発言の後の株価下落は、むしろ買いのチャンスだ」と分析した。
ブルームバーグは、「トランプ氏が関税の脅しを繰り返し撤回するたびに、その効果は薄れ、相手国が最初から信じなくなる可能性が高くなる」と警告した。