約8,100億円規模の武器生産資金支援

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領が28日(現地時間)ドイツを訪問し、ドイツはウクライナの長距離ミサイル生産支援を含む軍事協力を約束した。
この日、ドイツのフリードリヒ・メルツ首相はベルリンでゼレンスキー大統領と会談後の共同記者会見で、「我々は(ウクライナが)長距離兵器を使用できるようにしたい」と述べ、「共同生産も可能にしたい」と語った。ドイツの「デペア通信(dpa)」が報じた。メルツ首相はこの動きを両国の「軍産協力の新たな形の始まり」と評価した。ゼレンスキー大統領の今回のドイツ訪問は2022年の戦争開始以来3回目で、6日にメルツ首相が就任して以来初めてのベルリン訪問となった。
ドイツはウクライナが独自開発した長距離ミサイル「ネプチューン」などの巡航ミサイルとロケットの機能を大幅に強化できるよう、技術と資金を支援する計画だ。支援対象には防空システム、武器、弾薬、作戦・指揮能力、医療支援などが含まれる。両国の国防省はこの日、ウクライナの長距離兵器生産資金を調達する協定書を締結し、ドイツ国防省は約50億ユーロ(約8,169億9,103万円)を支援する予定だと発表した。国防省は「ドイツはウクライナの(武器)生産により直接的に投資する計画を実行している」とし、「今年中にかなりの数の長距離兵器を生産できるだろう」との見通しを示した。
しかし、両国の首脳はドイツが長距離巡航ミサイル「タウルス」をウクライナに提供するかどうかについては言及を避けた。メルツ首相は総選挙期間中、ドイツがタウルスを支援すべきだと主張していた。だが、選挙で勝利し連立政権を構成した後は関連発言を控えている。ロシアへの戦略的曖昧性を保つため、ドイツは武器支援の詳細を明らかにしない方針をとっている。
先に26日、メルツ首相がイギリス、フランス、ドイツ、アメリカがウクライナに提供する武器には「いかなる射程制限もない」と公式に表明した後、ドイツが射程500km以上の「タウルス」ミサイルをウクライナに支援するのではないかとの観測が浮上した。この発言の意味を巡って論争が激化すると、メルツ首相は翌日「(ウクライナに)配備された武器の射程制限解除はすでに数ヶ月、数年前に重要な役割を果たした」と述べ、この問題は数ヶ月前に決定された事案に過ぎないとの立場を明らかにした。しかし、アメリカのCNNはメルツ首相が連立政権のパートナーである社会民主党(SPD)とタウルス提供問題を巡って、かなりの意見の相違があると指摘した。前任のオラフ・ショルツ首相が率いた社会民主党は、ドイツのタウルスが戦争拡大を引き起こす要因になると見て、ウクライナ支援を拒否してきた。
ゼレンスキー大統領もこの日、タウルスミサイルに言及せず「我々は十分な長距離(発射)能力が必要だ。これは我々が軍事財政とウクライナの回復力に確信を持たなければならない理由だ」と述べ、「ドイツはこのすべての面で我々を支援できる」と語った。彼はドイツとの協力の下、来年6月頃には新しい武器を準備できることを期待していると付け加えた。
ロシアはドイツとウクライナの協定に反発した。クレムリンのドミトリー・ペスコフ報道官はドイツに対し「無責任だ」とし、「ドイツは平和的プロセスを支援する努力の代わりに火に油を注いでいる」と批判した。