
「日本の財政状況は疑いなくギリシャより悪い」。石破茂首相が5月19日の国会演説で述べた言葉だ。政治的には異例だが、市場の不安を代弁した現実的な警告だった。
20年以上ゼロ金利に慣れ親しんできた日本が金利上昇の時代に突入し、天文学的な国家債務の重みを実感している。超長期国債の利回りは急騰し、利払い費は今年だけで100兆ウォン(約10兆4,800億円)を超えた。財務省によると、2028年には利払い費が最大200兆ウォン(約20兆9,500億円)に達する可能性がある。
GDP比の国家債務は240%を超え、1,130兆円と先進国中最悪の水準だ。超低金利を利用して国債を大量発行し財政拡大を進めてきたアベノミクスの後遺症が顕在化している。政策金利がわずか0.25%上昇しただけで円キャリートレードが急激に巻き戻され、日本株式市場のみならず世界の株式市場にも衝撃を与えた。
2025年時点で金利2%を適用した場合の利払い費は100兆ウォン。金利が2.5%に上昇すれば153兆ウォン(約16兆円)、3%水準では200兆ウォンに迫る見込みだ。これは日本の総予算の20%を超える額であり、防衛費(約82兆ウォン(約8兆6,000億円))の2倍以上に相当する。
地政学専門家のニーアル・ファーガソン氏は、国家の利払い費が国防費を上回ると帝国の衰退が始まると指摘した。米国は2024年にその臨界点を超え、日本もその境界線に近づいている。政府は国債40年の入札への需要冷え込みを受け、超長期債の発行を減らし中長期債中心に再編しようとしている。
矢野康治元財務次官は「国債利回りは沸騰するシチューのように泡立っている」と警告した。彼は政府の赤字財政を「ワニの口のように開いた歳出と歳入の乖離」と表現し、日本銀行を財務省の子会社になぞらえた。これは市場の信頼を損なう危険な認識だ。
超低金利の幻想から覚めた日本は、今や「金利のある世界」で財政の持続可能性が試されている。政治家はタダ昼食を約束するが、市場はその代価を冷徹に請求する。