
イタリアで妊娠中または12か月未満の乳児を持つ女性犯罪者の収監を可能にする新たな治安法が可決され、論争を呼んでいる。政府は一部の女性犯罪者が妊娠や出産を実刑回避の手段として悪用する状況を防ぐ意図があると説明しているが、社会的弱者の保護という義務を放棄する法案だとの批判も根強い。
4日、ANSA通信などによると、イタリア上院はこの日、賛成109票、反対69票、棄権1票で治安法を可決した。上下両院を通過したこの法案は、イタリアのセルジョ・マッタレッラ大統領の最終署名を待つのみとなっている。
治安法の主な内容は、これまでイタリアが妊婦と12か月未満の乳児を持つ女性犯罪者の収監を自動的に猶予していた措置を廃止するものだ。さらに、道路占拠や公共財産の損壊などの抗議行動に対する処罰規定も盛り込まれている。法案を推進したイタリアのジョルジャ・メローニ首相は「市民と最も脆弱な層、制服組を守るための決定的な措置」と述べ、法案の上院通過を歓迎した。
一方、野党の一部議員は、軽犯罪を理由に妊婦と子どもを刑務所に収監すべきではないとして、本会議場で抗議行動を展開するなど法案可決に反発した。また、法案審議過程で与党「イタリアの同胞」所属のジャンニ・ベッリーノ上院議員が「泥棒をするために子どもを産む女性は、子どもを持つ資格がない」と発言し、論争に火を付けた。民主党のフィリッポ・センシ上院議員はX(旧Twitter)で「これ以上残酷な言葉を聞いたことがない」と非難した。