外務次官「ロシアとの対立を視野に入れた軍事演習」と批判
米など16か国が年次「バルトップス2025」を開始

ロシア政府は、北大西洋条約機構(NATO)がバルト海で開始した海上機動演習に対し、強く反発した。
アレクサンドル・グルシコ外務次官は4日(現地時間)、タス通信のインタビューで「NATOの軍事行動は、ロシアとの衝突を念頭に置いた準備の一環だとみている」と述べた。
さらに、「訓練のテーマや部隊配置、戦力規模から見ても、今回の演習は明らかにロシアを仮想敵とした内容であり、極めて挑発的だ」と非難した。
NATOは3日から、バルト海一帯で年次合同演習「バルトップス2025(Baltops:Baltic Operations)」を実施中だ。米海軍によれば、アメリカをはじめ英国、フランス、ドイツ、スウェーデン、フィンランド、エストニアなど16か国から約40隻の艦艇、25機の航空機、そして9,000人を超える兵員が参加しているという。
NATOは、ロシアが対西側への攻勢を強めた場合、バルト海および北欧地域が最前線になる恐れがあると見て、こうした共同演習を強化している。
ウクライナ戦争を契機に、長らく中立を保ってきたフィンランドとスウェーデンがNATOに加盟したことで、ロシアはバルト海を通じた大西洋への進出ルートをほぼ失い、実質的に封じ込められた状態にある。
アメリカ国防総省傘下の安全保障研究機関「テッド・スティーブンス・センター」のステファン・ルンドクビスト教授は、「ロシアはバルト海における戦略的な足場が非常に脆弱なため、仮に衝突が起これば、直ちに沿岸の主要港を掌握しようとするだろう」との見方を示している。
一方、ロシアは「緊張を高めているのはNATO側だ」と主張している。
セルゲイ・ラブロフ外相は、フィンランドとスウェーデンを名指しこそしなかったが、「国境一帯でNATO軍の増強が進む様子を我々は憂慮の目で見ている」と述べ、「中立国として何か不都合でもあったのか」と皮肉交じりに語った。