
政府が、アメリカから流出する研究者・技術者の受け入れに積極的な姿勢を見せ始めた。トランプ政権下で研究機関の予算削減やハーバード大学への圧力が強まる中、国外への人材流出が懸念される米国に代わり、日本がその受け皿となることを目指すものだ。朝日新聞は「米国への配慮からこれまで消極的だった政策を転換する動き」と報じている。
5日付の報道によれば、石破首相は4日に開催された「総合科学技術・イノベーション会議」で、「米国政府の政策転換により、米国内の研究活動に対する不安が高まる中で、我が国の研究力を強化するために、米国を含む優秀な外国人研究者を積極的に誘致する『国際頭脳循環』戦略を強化する」と表明。閣僚らに対し、海外研究人材の確保に向けた取り組みを加速するよう指示した。
即応策として、日本政府は大学教授の給与水準見直しに着手している。米国の一流大学教授の年収は通常3,000万円以上に上るが、日本の大学教授の給与とは大きな開きがあり、現行予算のままでは誘致が困難とされている。
朝日新聞は、政府の10兆円規模の大学ファンドから今年度154億円の支援を受ける「国際卓越研究大学」の一つである東北大学が、海外研究者誘致の中核的な役割を担う可能性があると報道。また、政府は中長期的に予算の増額も視野に入れているという。
加えて、文部科学省は最近、主要大学に対して「米国から離脱する外国人留学生を受け入れる用意があるかどうか」を検討するよう要請。大阪大学をはじめとする一部の大学はすでに、米国からの研究者を受け入れる方針を打ち出している。